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電動キックボードと電動アシスト自転車の違い|年齢・速度・走れる場所

通勤・通学や買い物に、電動キックボードと電動アシスト自転車のどちらを使うか迷っているなら、まず法律上の区分が違うことを押さえてください。基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」(以下、特定小型原付)という原付の一種で、16歳未満は運転できず、ナンバープレートと自賠責保険が必要です。基準を満たす電動アシスト自転車は「自転車」なので、どちらも要りません。

どちらも免許は要りませんが、運転できる年齢、走れる場所、買った後の手続、二人乗りの扱いが変わります。その違いと、用途に合わせた選び方を説明します。

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ナンバーや自賠責保険の手続がいらない自転車として使える車種を、価格や仕様から比べられます。

特定小型原付と電動アシスト自転車の免許・年齢・ナンバー・保険の違い

主な違いは次のとおりです。電動キックボードは特定小型原付の基準を満たす車両を、電動アシスト自転車は駆動補助の基準に加え、長さ190cm以下・幅60cm以下などの「普通自転車」の基準も満たす車両を比較します。基準を満たさない車両には、別の扱いが必要です。

比べる点 電動キックボード(特定小型原付) 電動アシスト自転車(基準適合・普通自転車)
法律上の区分 原動機付自転車の一種 自転車(軽車両)
運転できる年齢 16歳以上。16歳未満の運転は禁止 年齢の要件は法令に見当たらない
運転免許 不要 不要
車体の速度の決まり 20km/hを超える速度を出せない構造 24km/h以上ではモーターの補助が加わらない構造
主に走る場所 車道の左側端。自転車道も通行できる 車道の左側端。自転車道がある道路では原則として自転車道
歩道 特例特定小型原付が、標識等で認められた歩道を、最高速度表示灯が点滅する構造上6km/h以下の状態で通行できる 普通自転車は、標識等で認められた場合、運転者が13歳未満・70歳以上等の場合、車道・交通の状況から安全確保のためやむを得ない場合に通行できる
ナンバープレート 市町村で取得し、取り付ける 不要
自賠責保険・共済 加入義務あり 対象外。自転車の賠償責任保険を条例で義務にしている都府県がある
ヘルメット 着用の努力義務 着用の努力義務
二人乗り 禁止 原則禁止。幼児用座席などは公安委員会規則で認められている

免許が要らない点とヘルメットが努力義務である点は同じですが、そのほかの項目はほとんど違います。

基準を満たす電動キックボードは、自転車ではなく「特定小型原付」

特定小型原付は、原動機付自転車のうち、車体の大きさと構造が自転車道を通るほかの車両の妨げにならず、運転に高い技能を要しないものとして内閣府令の基準に当たるものです(道路交通法第2条第1項第10号)。基準は次のとおりです(道路交通法施行規則第1条の2の2)。

  • 長さ190cm以下、幅60cm以下
  • 定格出力0.60kW以下の電動機を使う
  • 20km/hを超える速度を出すことができない
  • 最高速度を複数設定できるものは、走行中に設定を変えられない
  • クラッチ操作の要らないAT機構である
  • 道路運送車両の保安基準に定める最高速度表示灯を備えている

これらの基準を満たさないものは、形が電動キックボードであっても特定小型原付にはならず、一般原動機付自転車または自動車としての交通ルールが適用されます(警察庁)。その場合は運転免許が必要で、歩道を走ることもできません。

外見だけで基準への適合を判断せず、「性能等確認済シール」などを目安にしてください。国土交通省が認定した民間の確認機関が、メーカー等の申請を受けて保安基準への適合性などを確認する制度です。確認された車両には、メーカー・確認機関の名称等を含むシールが表示されます。購入時はシールと型式を確認し、メーカーの安全情報も確かめましょう。

電動アシスト自転車は、ペダルをこぐ力をモーターが補う自転車

内閣府令の基準を満たし、人がこぐ力をモーターで補う車両は、道路交通法上も自転車に含まれます。一般的な二輪の電動アシスト自転車では、補助力は10km/h未満で人の力の2倍以下、10km/h以上では速度に応じて減り、24km/h以上ではゼロになります。このほか、基準外への改造が容易でないことや、補助機能が安全かつ円滑に働くことも必要です(道路交通法第2条第1項第11号の2、施行規則第1条の3)。

大きな違いは、電動アシスト自転車ではモーターがペダルをこぐ力を補うのに対し、特定小型原付ではモーターの力で走行できる点です。特定小型原付は構造上20km/hを超える速度を出せません。電動アシスト自転車は24km/h以上で補助がなくなりますが、惰性や下り坂などでその速度に達しないという意味ではありません。補助比率と速度の関係は「電動自転車の速度は何km?」で詳しく解説しています。

なお、どちらの乗り物でも、最高速度の標識がある道路ではその速度が上限になります。標識と自転車の速度の関係は「自転車に速度制限はある?」で扱っています。

16歳未満は電動キックボードを運転できない

年齢の決まりは、2つの乗り物で最もはっきり分かれる点です。16歳未満の人は、特定小型原付を運転できません(道路交通法第64条の2第1項)。16歳未満の人が運転するおそれがあると知りながら特定小型原付を貸すことも禁じられています(同条第2項)。罰則はどちらも6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です(警察庁)。中学生の子どもに電動キックボードを貸すことは、貸した側の違反にもなります。

電動アシスト自転車については、道路交通法と施行規則に運転者の年齢を定めた規定は見当たりません。条文に年齢の要件がないことからの読み方で、何歳でも安全に乗れるという意味ではありません。メーカーは車種ごとに適応身長を示しているため、子どもが乗る場合は足が地面に届くか、ブレーキに手が届くかを車種の仕様で確かめましょう。

この二つを中学生・高校生の通学手段として比べるなら、16歳未満が運転できるのは電動アシスト自転車です。ただし、身体に合う車種を安全に扱えることが前提です。16歳以上でどちらを選ぶ場合も含め、購入前に学校が認める通学手段と通学経路を確かめてください。

電動キックボードの歩道通行には、普通自転車より限られた条件がある

どちらも、歩道と車道の区別がある道路では車道を通るのが原則です(道路交通法第17条第1項)。車道では道路の左側端に寄って走ります(第18条第1項)。違いが出るのは、歩道と自転車道の扱いです。

場所 電動キックボード(特定小型原付) 電動アシスト自転車(普通自転車)
自転車道 通行できる(第17条第3項) 自転車道がある道路では、横断する場合ややむを得ない場合を除き自転車道を通る(第63条の3)
歩道 特例特定小型原付が、「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識などで認められた歩道に限り通行できる(第17条の2) 普通自転車は、標識等で認められた場合、運転者が13歳未満・70歳以上等の場合、車道・交通の状況から安全確保のためやむを得ない場合に通行できる(第63条の4)
歩道での走り方 原則として中央から車道寄りの部分を徐行。普通自転車通行指定部分がある場合はその部分を通り、歩行者の通行を妨げるときは一時停止 原則として中央から車道寄りの部分を徐行。普通自転車通行指定部分がある場合はその部分を通り、歩行者の通行を妨げるときは一時停止
路側帯 特例特定小型原付は、歩行者用路側帯を除く道路左側の路側帯を、著しく歩行者の通行を妨げない場合に通行できる(第17条の3) 自転車は、歩行者用路側帯を除く道路左側の路側帯を、著しく歩行者の通行を妨げない場合に通行できる(第17条の3)

「特例特定小型原付」は、特定小型原付のうち、歩道を通る間は最高速度表示灯を点滅させ、その間は車体の構造上6km/hを超える速度を出せないものなどをいいます(施行規則第5条の6の2)。アクセル操作で6km/h以下に抑えて走っているだけでは、この要件を満たしません(警察庁)。最高速度表示灯が点滅していない電動キックボードは、標識のある歩道でも走れません。

電動アシスト自転車でも、普通自転車の基準を満たす車両なら、13歳未満や70歳以上の運転者は、通行を認める標識がなくても歩道を通れます。ただし、歩行者を優先し、警察官等から通行禁止の指示があれば従ってください。特定小型原付には年齢による歩道通行の例外はありません。使う経路と車体の条件を合わせて選びましょう。自転車の走り方は「電動自転車の交通ルール」で解説しています。

交差点の右折はどちらも二段階で曲がる

右折の方法は、2つの乗り物で同じです。特定小型原付と軽車両(「特定小型原動機付自転車等」)は、あらかじめ道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿って徐行して右折します(道路交通法第34条第3項)。自動車のように交差点の中心近くを回って曲がることはできません。

信号のある交差点では、青信号で向こう側までまっすぐ進み、そこで止まって右に向きを変え、前方の信号が青になってから進む二段階右折をします(警察庁)。自動車や一般原付が右向きの青い矢印信号で右折できる場面でも、特定小型原付と自転車は、その右矢印に従って進むことはできません。

違うのは合図の出し方です。特定小型原付は、右左折や進路変更のときに方向指示器などで合図をします(警察庁)。方向指示器のない自転車は、腕を使った手信号で合図を出します。手信号の形と出すタイミングは「自転車の手信号」で解説しています。

ナンバーと自賠責保険が必要なのは電動キックボードだけ

買った後の手続も大きく違います。特定小型原付の所有者は、市町村の条例などに従ってナンバープレート(標識)を受け取り、車体の見やすい所に取り付けなければなりません(警察庁)。手続の方法は住んでいる市町村に問い合わせます。

自賠責保険・共済への加入も義務で、加入せずに運転すると1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(国土交通省)。自賠責保険は人身事故の損害を補うもので、被害者1人あたりの支払限度額は死亡3,000万円、傷害120万円などです。物損事故は対象になりません。保険には有効期限があり、ナンバープレートに貼るステッカーで期限を確かめて更新します。

基準に適合した電動アシスト自転車には、ナンバープレートや自賠責保険の手続は不要です。一方、自転車事故の賠償に備える保険を条例で義務づける地域があります。国土交通省の集計では、2024年4月1日時点、公布日ベースで34都府県が加入を義務化しています。最初の導入は2015年10月の兵庫県です。居住地だけでなく自転車で走る地域の条例も確認し、既に加入している保険で必要な補償を受けられるか確かめてください。

子どもや荷物を乗せるなら電動アシスト自転車

使い方の面で差が出るのが、人を乗せられるかどうかです。特定小型原付の二人乗りは禁止で、違反すると5万円以下の罰金などの対象になります(警察庁)。子どもを一緒に乗せて移動する用途には使えません。

自転車の二人乗りも原則禁止ですが、公安委員会規則では、16歳以上の運転者が小学校入学前の幼児を幼児用座席に乗せる場合などを認めています。子どもを同乗させる用途でこの二つから選ぶなら、対応した電動アシスト自転車が候補になります。運転者の年齢、同乗できる人数・年齢などの地域の規則と、車体・座席の取付適合や体重・身長の条件を確かめましょう。

荷物を運ぶなら、対応するかごや荷台を備えた電動アシスト自転車が候補になります。ただし、法令上の積載制限と、車体・かご・荷台のメーカー指定を両方守ってください。特定小型原付にも積載制限があり、積載装置を備える場合の荷物は30kg以下などと定められています(道路交通法施行令第23条)。この数値だけで積めると判断せず、車種の指定を確認し、手に持つなど操作や安定を妨げる運び方は避けましょう。

「電動アシスト」と名乗っても基準外なら原付になる

電動アシスト自転車の側にも、区分の落とし穴があります。商品名が「電動アシスト自転車」でも、施行規則第1条の3の基準を満たさなければ自転車ではありません。ペダルとモーターを備える車両でも、スロットル(アクセル)が付いているものや、駆動補助機付自転車(いわゆる電動アシスト自転車)の基準に適合しないものは、自転車ではなく一般原動機付自転車や自動車です(警察庁)。

実際に、「電動アシスト自転車」と称して販売された製品のうち、国民生活センターが入手できた2銘柄では、アシスト比率が道路交通法の基準の上限を超えていました(消費者庁、2023年4月19日公表)。基準に適合しない製品は原動機付自転車に当たり、そのまま道路を通行すると運転者が罰則の対象になるおそれがあります。持っている製品が当てはまる場合は道路の通行をやめ、購入先に確認してください。ペダルをこがずにモーターだけで進む、急に発進するといった製品は、基準に合っていないおそれがあります(同)。

原付として扱われる車両を自転車のつもりで走らせると、免許、ナンバー、自賠責保険などの条件を満たさないまま公道を走ることになります。「電動キックボードより自転車のほうが手続が楽」という比較は、基準を満たした電動アシスト自転車にだけ当てはまります。

買う前には、メーカー名と型式を確かめましょう。国家公安委員会の型式認定を受けた車種は、型式認定番号やTSマークを表示でき、警察庁のページから認定品の一覧を確認できます。型式認定は任意の制度のため、表示がないことだけで違法とは決められませんが、基準に適合する根拠を販売者に確かめる手がかりになります。ペダル付き電動バイクの公道走行の条件は「フル電動自転車は違法?」、3つの車両区分と免許の関係は「電動自転車に免許は必要?」で解説しています。

よくある質問

電動キックボードと電動アシスト自転車で、ヘルメットの決まりは違いますか?

特定小型原付と自転車は、どちらもヘルメット着用が努力義務です(道路交通法第71条の4第3項、第63条の11第1項)。一方、一般原付に当たる電動キックボードやペダル付き電動バイクは、第71条の4第2項により着用が義務づけられています。どちらの区分でも頭を守るために着用しましょう。自転車用の選び方は「電動自転車のヘルメットは義務?」で解説しています。

性能等確認済シールがない電動キックボードは、公道を走れますか?

シールがないことだけでは、公道を走れるかどうかは判断できません。販売者やメーカーに、特定小型原付の区分を定める基準と、運行に必要な保安基準の両方を満たす根拠を確かめ、分からない場合は公道で使わないでください。区分の基準を満たさなければ一般原付などのルールが適用されます。また、特定小型原付に該当しても、ブレーキや灯火などが保安基準に適合しない状態では運行できません。

まとめ

特定小型原付の基準を満たす電動キックボードは、免許なしで運転できる原付の一種です。16歳未満は運転できず、ナンバープレートと自賠責保険が必要で、二人乗りもできません。歩道通行は、最高速度表示灯の点滅中に構造上6km/hを超えないなどの条件を満たす特例特定小型原付が、標識等で認められた歩道を通る場合に限られます。歩行者を優先して通行してください。

基準に適合した電動アシスト自転車は、ナンバーや自賠責保険の手続が不要です。一般の運転開始年齢を定める規定は見当たりませんが、身体に合い安全に扱えることが必要です。普通自転車の基準も満たす車両なら、13歳未満・70歳以上などの歩道通行の例外が適用されます。幼児同乗には運転者が16歳以上であることなど、地域と車体・座席の条件があります。通学・送迎・買い物の用途に合わせ、型式と基準への適合、保険を含む利用条件を確認して選びましょう。

参考資料