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自転車に速度制限はある?|標識と法定速度の関係

自転車には法定速度がないと聞く一方で、標識の速度は守るものだとも言われ、何km/hまで出してよいのか迷うことがあります。最高速度の標識や標示がある道路では、自転車もその速度を超えてはいけません。標識のない道路には自転車の数値を定めた条文がなく、見通しの悪い交差点や急な下り坂などで必要となる徐行と、安全運転の義務に従って速度を調整します。

「法定速度」と、標識で指定された最高速度は、区別して考える必要があります。2つの関係を順に説明し、2026年9月1日から変わった生活道路の速度や、速度超過の反則金にも触れます。

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自転車の速度を決めるのは標識と道路の状況

自転車にかかる速度のルールは、数値で決まるものと、状況で決まるものに分かれます。

場面 自転車に求められること 根拠
自転車を対象とする最高速度の標識・標示がある道路 表示された速度を超えない 道路交通法第22条第1項
標識・標示がない道路 政令に自転車の数値がなく、決まった上限の数字はないと読める 道路交通法施行令第11条
見通しのきかない交差点(交通整理中・優先道路通行中を除く)、急な下り坂など 徐行する 道路交通法第42条
普通自転車が通行を認められた歩道を通るとき 原則、中央から車道寄り(普通自転車通行指定部分があればその部分)を徐行。指定部分に歩行者がいない場合の例外は本文参照 道路交通法第63条の4第2項
すべての道路 他人に危害を及ぼさない速度で運転する 道路交通法第70条

2行目の「上限の数字はない」は、施行令第11条に自転車の最高速度が数値で定められていないことからの解釈です。数値の上限がない場合でも、徐行や安全運転の義務は残ります。

最高速度を守る義務は自転車にもかかる

「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」(道路交通法第22条第1項)。この条文の主語は「車両」です。

車両は「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバス」で(第2条第1項第8号)、軽車両には自転車が含まれます(第11号)。そのため、第22条の義務を負う側に自転車も入ります。条文の前半は「標識等で指定された速度」、後半は「政令で定める速度」という2本立てになっており、自転車にとって意味が違うのはこの後半です。

違反した場合の罰則は第118条第1項第1号で、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。過失による場合も同条第3項で罰則が定められています。

標識がない道路で、自転車の最高速度はどう決まる?

標識がない道路の速度を、一般に「法定速度」と呼びます。第22条の後半が任せている政令は道路交通法施行令で、その第11条が一般道路の最高速度を決めています。

第11条の文言は、「自動車及び原動機付自転車が」一般道路を通行する場合の最高速度を、自動車は道路の区分に応じた速度、原動機付自転車は30km/hとするものです。自転車や、そのほかの軽車両の数値はこの条文に出てきません。第12条の特例も、他の車両を牽引する自動車・原付と緊急自動車についての定めです。

第22条は政令で定める速度を超えるなと命じていますが、自転車について政令が速度を定めていない以上、超えてはならない数値がありません。「自転車に法定速度はない」という説明は、この条文の組み立てから導かれる読み方です。法律が自転車を対象から外しているわけではなく、当てはめる数値がないという点を押さえておきましょう。

「40」の標識がある道路は自転車も40km/hまで

前半の「道路標識等で指定された最高速度」は、自転車にも及ぶと読めます。根拠は、標識の意味を定めた「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の別表第一です。

丸い標識に数字が書かれた「最高速度(323)」の意味は、第22条の道路標識により「車両(原動機付自転車、他の車両を牽引している自動車及び緊急自動車を除く。)」の最高速度を指定することとされています。かっこ書きで除かれているのは原付・牽引中の自動車・緊急自動車で、軽車両は含まれていません。原付については、施行令の30km/h以下にする場合に限って同じ標識で指定する別の定め方になっています。路面に数字を書く道路標示「最高速度(105)」の意味も、同じ組み立てです。

したがって、「40」の標識がある道路では自転車も40km/hを超えてはならず、「20」の標識がある道路なら20km/hが上限になります。

注意が必要なのは、標識の下に「大型等」「二輪」などの補助標識が付いている場合です。別表第一には、車両の種類を特定して最高速度を指定する「特定の種類の車両の最高速度(323の2)」もあり、補助標識の「車両の種類(503-A)」で規制の対象を示します。補助標識が自転車以外の車両に限っているときは、その最高速度は自転車にかかりません。

生活道路の30km/hは自動車の法定速度

2026年9月1日から、道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第248号)が施行され、自動車の法定速度が変わりました。一般道路における自動車の法定速度は、中央線や車両通行帯がある道路、柵などで往復の方向が分かれている道路、自動車専用道路などが60km/h、それ以外の一般道路が30km/hです(第11条)。中央線のない住宅地の道路などは、標識がなければ自動車も30km/hが上限です。

この改正で変わったのは自動車の数値で、条文の主語に自転車は加わっていません。生活道路の30km/hが自転車の上限になったと読める規定は、第11条には見当たりません。一方で、同じ道路に「30」の標識が立っていれば、前の章のとおり自転車もその標識に従います。標識の有無で、自転車にとっての意味が変わる点に注意してください。

最高速度の標識がなくても、安全運転と必要な場面での徐行は義務

法定速度の数値がないからといって、自転車がどれだけ速く走ってもよいわけではありません。道路交通法には、数値ではなく状況で速度を縛る規定がいくつもあり、自転車にも適用されます。

安全運転の義務として、ハンドルやブレーキを確実に操作し、道路、交通、車両の状況に応じて「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされています(第70条)。左右の見通しがきかない交差点に入るとき(信号などで交通整理が行われている場合や優先道路を通る場合を除く)、道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂を通るときは、徐行しなければなりません(第42条)。

徐行は第2条第1項第20号で「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」と定義されています。何km/hという数字ではなく、すぐ止まれるかどうかが基準です。自転車は速度を出し過ぎると周囲の確認や制御が難しくなるため、天候、時間帯、交通の状況に応じた安全な速度で走りましょう(交通の方法に関する教則)。

電動アシスト自転車で長い下り坂を走ると、こがなくても速度が上がります。急な下り坂は第42条の徐行場所なので、坂に入る前からブレーキで速度を抑えてください。

歩道と歩行者用道路ではすぐ止まれる速度で走る

歩道を通れる場合、普通自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を、普通自転車通行指定部分があるときはその部分を徐行します。歩行者の通行を妨げるおそれがあるときは一時停止しなければなりません(第63条の4第2項)。ただし、普通自転車通行指定部分を通る歩行者がいないときは、その部分を歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進めます。

標識で車両の通行が禁止された歩行者用道路を、許可や除外の対象として通るときも、特に歩行者に注意して徐行します(第9条)。

「スピードを出して歩道を通行」は指導警告の例に挙がっており、歩行者を驚かせて立ち止まらせた場合などは取締りを受けることもあります(警察庁 自転車ルールブック 指導取締りの考え方の図)。歩道を通れる条件や車道の走り方の全体は「電動自転車の交通ルール」で解説しています。

速度超過の反則金は6,000円から12,000円

2026年4月1日に施行された交通反則通告制度(青切符)の対象には、自転車の速度超過も入っています。次の表は、指定された最高速度を超えた分が30km/h未満の場合の反則金です(警察庁「自転車ルールブック」(令和7年9月)資料1「法上、自転車が対象とされている反則行為」)。

標識の最高速度を超えた速度 反則金の額
15km/h未満 6,000円
15km/h以上20km/h未満 7,000円
20km/h以上25km/h未満 10,000円
25km/h以上30km/h未満 12,000円

速度に関係する反則行為には、ほかに安全運転義務違反(第70条)6,000円、徐行場所違反(第42条)と歩行者用道路徐行違反(第9条)各5,000円、歩道徐行等義務違反(第63条の4第2項)3,000円があります(同資料1)。

青切符が交付されるのは16歳以上の人の反則行為です。自転車の違反は基本的に現場での指導警告とし、事故の原因となるような悪質・危険な違反を検挙するという考え方は変わりません(同ルールブック)。手続の流れは「電動自転車の青切符とは?」で解説しています。

電動アシスト自転車の24km/hは速度制限とは別の決まり

電動アシスト自転車でよく聞く24km/hは、道路の最高速度ではありません。24km/h以上の速度ではモーターが人の力を補う力を加えないことは、自転車として扱われるための車体の基準です(道路交通法施行規則第1条の3)。人の力や下り坂で24km/hを超えても、それだけで速度違反にはなりません。逆に、標識が20km/hの道路では、アシストが働いている速度域でも20km/hを超えれば第22条の違反です。補助の比率と速度の関係は「電動自転車の速度は何km?」で解説しています。

基準を満たさない電動の乗り物は、自転車の扱いになりません。原付に当たる車両には施行令第11条の30km/hが法定速度として及び、特定小型原動機付自転車は施行規則第1条の2の2で20km/hを超える速度を出せない構造と定められています。「電動アシスト」と称して売られていても、基準に合わない製品は自転車ではなく原付などの区分になります。見分け方は「フル電動自転車は違法?」で確認してください。

よくある質問

下り坂で標識の速度を超えてしまった場合も違反になりますか?

第22条第1項は、こいだかどうかを区別せず、指定された最高速度を超える速度で進行することを禁じています。下り坂で勢いがついた場合も、条文上は区別されません。勾配の急な下り坂は第42条の徐行場所でもあるため、坂の手前から速度を落としてください。

16歳未満の子どもが自転車でスピードを出した場合も反則金の対象ですか?

青切符(反則金)の対象は16歳以上の人の反則行為です。16歳未満の人による違反は、指導警告の例に挙がっています(ルールブック)。反則金の対象外でも、標識の最高速度や徐行の決まりは子どもにも同じようにかかります。

まとめ

自転車を含む車両はすべて最高速度を守る義務があり(道路交通法第22条)、最高速度の標識・標示がある道路では、自転車もその速度を超えてはいけません。標識のない道路の法定速度は施行令第11条に自動車と原付の数値しかなく、「自転車に法定速度はない」はこの条文の組み立てからの読み方です。2026年9月1日からの生活道路30km/hも、自動車の法定速度として定められたものです。

数値の上限がない道路でも、第70条の安全運転の義務と、状況に応じた徐行の義務はあります。徐行が必要な交差点や歩道の条件は本文で確認してください。16歳以上の人による速度超過は、本文の表に示した範囲では反則金6,000円からの対象となります。標識による上限を守るだけでなく、道路や交通の状況に応じて安全な速度で走りましょう。

参考資料