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CYCLE i暮らしに寄り添う自転車
CYCLE i / コラム
CYCLE i COLUMN

雨の日に自転車が滑りやすい場所|マンホール・白線・溝ぶた

雨の日は、マンホールのふたや横断歩道の白線、側溝の格子状のふたの上でタイヤが滑りやすくなります。砂・泥がある路肩だけでなく、濡れた路面そのものにも注意が必要です。滑りやすい場所を避けられないときは、手前で周囲の安全を確かめて止まり、自転車を降りて押して歩きましょう。

場所ごとに気を付けることと、乗ったまま通るか降りて押すかの決め方を説明します。電動アシスト自転車にも普通の自転車にも当てはまります。

CYCLE iで電動アシスト自転車のタイヤサイズと重さを比べる

雨の日も通勤や送迎で乗る方は、商品ページに載っているタイヤサイズや車体の重量も見比べながら次の一台を探せます。

滑りやすいのは金属のふた、塗装、溝、タイル、砂や泥

自転車メーカーは、転倒を防ぐため、滑りやすい路面やタイヤがはまりやすい溝・段差などに注意を促しています。ここでは、パナソニックの電動アシスト自転車「ビビ・DX」の取扱説明書(p.15)と、ブリヂストンサイクルの取扱説明書(シティサイクル・実用車編)(p.13)・サポートページ「安全な自転車の乗り方」に挙げられた場所を比べます。

路面 パナソニック(ビビ・DX取説 p.15) ブリヂストン(取説 p.13・安全な自転車の乗り方)
マンホール・鉄板 マンホールや側溝のフタ 濡れている鉄板やマンホール、工事中の鉄板
白線などの塗装 路面上の表示(白線など) 塗装された路面
溝・段差 凹凸の激しい所(段差の乗り降りや溝など) 路面の溝、段差
タイル・石・点字ブロック 石板(大理石など)、タイル張りや点字ブロック 歩道の点字ブロック
砂・泥 路肩の砂や砂利、ぬかるみ ぬかるみ
雪・氷・水 積雪や凍結した道、ぬれた路面 積雪や凍結した路面

こうした場所では乗ったまま通らず、自転車を降りて押して歩くのが両社共通の案内です。パナソニックの取扱説明書は、滑りやすい所での乗車を禁止し、スリップによる転倒を警告しています。表では、金属のふた、塗装、溝・段差、タイルなどの舗装材、砂や泥、雪・氷・濡れた路面の六つに整理しました。

マンホールや鉄板は、表面に模様があっても上を走らない

車道の真ん中だけでなく、自転車が通る左端の近くにもマンホールのふたはよくあります。濡れた鉄板やマンホールのふたは、両社とも滑りやすい所に挙げています。道路工事の現場で仮に敷かれる鉄板も同じです(ブリヂストン「安全な自転車の乗り方」の「工事中の鉄板」)。

ふたの表面には模様が付いていることが多いものの、今回参照した両社の取扱説明書は、模様の有無で区別せずマンホールを滑りやすい所に挙げています。雨の日は少し先の路面を見て、ふたの上を通らない安全な進路を早めに選びましょう。後続車などのために避けられない場合も、急に進路を変えたり、その場で降りたりせず、周囲を確かめて手前の安全な場所で止まってから押して歩いてください。

白線の上は車体を起こして通り、線に沿って走らない

横断歩道の白い帯、停止線、車道の外側線、自転車の通行位置を示す青い矢印など、道路には塗料で描かれた表示がたくさんあります。こうした塗装の上も、雨で滑りやすくなります(パナソニックは「路面上の表示(白線など)」、ブリヂストンは「塗装された路面」と表記)。

横断歩道の白い帯や交差点の表示も、雨で濡れると滑りやすくなります。車体を起こして通れば大丈夫とは考えず、濡れた白線の上を避けられないときは、周囲の安全を確かめて手前で止まり、降りて押してください。曲がる場面だけでなく、まっすぐ横切る場面でも同じです。

道路の左端に引かれた白線の上を、線に沿って走るのも避けましょう。ただし、線の内側と外側を自由に選べるわけではありません。車道・路側帯などの区分や標識・標示に従って通行し、滑りやすい部分を安全に避けられないときは、手前の安全な場所で止まって押して歩いてください。

路肩の溝ぶたや砂利では、タイヤのはまり込みや横滑りに注意する

道路の端にある側溝には、コンクリートのふたのほか、格子状の金属でできたふたが使われていることがあります。この金属のふたは「溝蓋(グレーチング蓋)」とも呼ばれます(国の自転車通行空間のガイドライン)。側溝のふたも、滑りやすい所の一つです(パナソニック取扱説明書)。

溝ぶたで気を付けたいのは、滑ることだけではありません。路面の溝や段差、点字ブロックなどを通ると、タイヤがはまったり、滑ったりして転倒するおそれがあります(ブリヂストン取扱説明書)。国のガイドラインも、タイヤのはまり込みを抑えるため格子の形状を工夫したふたへの置き換えに触れており、格子のすき間にタイヤが落ち込むおそれがあることがうかがえます。

側溝と舗装の境目には、段差や細長いすき間ができていることもあります。雨で水が流れていると境目が見えにくくなるため、路肩ぎりぎりを走るのではなく、溝ぶたから少し離れた位置を走れるか、手前で後ろの安全を確かめておきましょう。

路肩で気を付けたいものは、ふただけではありません。路肩の砂や砂利、ぬかるみも滑りやすい所です(パナソニック取扱説明書。ブリヂストン取扱説明書は「ぬかるみ」)。舗装の有無にかかわらず、こうした場所では降りて押して歩いてください。

路肩には砂や小石が残っていることがあり、雨の日は泥水に紛れて見分けにくくなります。工事現場の出入口や、畑・空き地に面した道では、タイヤが運んだ泥が舗装の上に広がっていることもあります。路面の色が周りと違う所は、砂や泥が乗っているかもしれないと考えて、手前で速度を落としましょう。

歩道のタイルや点字ブロックは押して横切る

石板(大理石など)、タイル張り、点字ブロックも滑りやすい所です(パナソニック取扱説明書)。駅前広場、商店街、建物の入口付近、公園の園路などでは、アスファルトではなくタイルや石で舗装された場所が少なくありません。

見た目がきれいに整った舗装でも、滑りやすいことに変わりはありません。歩道の点字ブロックは、タイヤがはまったり滑ったりするおそれがあるため、押して歩きます(ブリヂストン取扱説明書)。

そもそも自転車は車道通行が原則で、歩道は歩行者優先です(ブリヂストン取扱説明書)。歩道を通る場面や、店に寄るために歩道へ入る場面では、点字ブロックやタイルの上を乗ったまま横切らず、降りて押してください。歩道を押して歩くときの扱いは、次の記事で説明しています。

ぽつぽつ降り出した時点で速度を落とす

雨の降り始めでも、路面の一部が濡れて滑りやすくなります。乾いた路面から濡れた路面に入るときは、スリップによる転倒に注意が必要です(パナソニック取扱説明書)。

降り始めは、同じ道でも濡れた所と乾いた所が入り混じります。乾いた所と同じ感覚で走らず、雨が降り出した時点で早めに速度を落としましょう。滑りやすい部分を避けられないときは、減速だけで通り抜けず、周囲の安全を確かめて手前で止まり、降りて押してください。

雨が上がっても、濡れたブレーキは効きが悪いことがあります。ブリヂストン「安全な自転車の乗り方」は、雨などでブレーキが濡れた場合は乾燥させた後に使うよう案内しています。特に大雨や水没の後は効きを必ず確かめ、異常があれば使用を中止してください。ブレーキの効きが普段と違うときの確かめ方は、次の記事で扱っています。

避けられないときは降りて押し、乗るなら手前で減速する

滑りやすい所では、降りて押して歩くのが両社共通の対応です(パナソニック「降りて、押して歩いてください」、ブリヂストン「自転車を押して歩く」)。段差も降りて押して歩くのが基本で、やむを得ず低い段差を乗り越える場合は、滑ったりバランスを崩したりするおそれがあります(パナソニック取扱説明書)。

乗ったまま通るかどうか迷う場面は、次のように考えると決めやすくなります。

  • マンホールや溝ぶたの上を通らずに進める幅があり、後ろの安全も確かめられる場合は、手前で進路を決めてゆっくり通る
  • 交差点や横断歩道などで、濡れた白線や溝ぶたの上を避けられない場合は、曲がるか直進するかにかかわらず、安全に止まってから降りて押す
  • 点字ブロックやタイルの上を横切る場合、段差を越える場合は、降りて押す
  • 水が流れていて路面の状態が見えない場合は、その場所に入らない

電動アシスト自転車は車体が重いため、押して歩くあいだに足元が滑ると支えにくくなるおそれがあります。押すときもハンドルをしっかり握り、車体を大きく傾けないようにしてください。足元の安全も確保できない場合は無理に進まず、安全な別の経路や移動方法を選びましょう。

滑りやすい場所に入る前に安全に止まれるよう、前方と周囲を見て早めに速度を落としましょう。ブリヂストン取扱説明書は、先に後ブレーキをかけてから前後のブレーキを使うよう案内しています。片方だけに頼らず、特に前ブレーキだけを強くかけないでください。車輪がロックし、前方に転倒するおそれがあります。

通常のカーブでは、手前で速度を落とし、曲がっている間はペダリングをやめます(ブリヂストン「安全な自転車の乗り方」)。曲がる側のペダルを下げると、地面に接触して転倒するおそれがあります(パナソニック取扱説明書)。ただし、これらは濡れた白線や溝ぶたを乗ったまま通ってよいという意味ではありません。滑りやすい部分を避けられない場合は、手前で安全に止まり、降りて押してください。

前後のブレーキの使い分けや、止まるまでの距離の考え方は、次の記事で詳しく説明しています。

タイヤの模様のすり減りと空気圧を乗る前に見る

滑りやすい場所の多くは路面側の問題ですが、タイヤの状態も日常点検で見ておきたいところです。乗る前には、タイヤにコードが見える深いキズがないこと、接地面の模様が十分残っていること、タイヤ側面に表示された推奨空気圧になっていることを確かめます(ブリヂストン取扱説明書p.20)。

空気圧が低いまま走ると、タイヤと道路の接地面が大きくなってタイヤが摩耗しやすくなります(同p.32)。雨の季節の前に、接地面の模様が残っているか、空気が抜けていないかを見ておき、すり減りやひび割れが気になるときは販売店に相談してください。タイヤの表面の模様の違いについては、次の記事で解説しています。

すべてのマンホールのふたに、滑り止め加工があるとは限らない

国土交通省道路局と警察庁交通局がまとめた「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(令和6年6月)は、道路管理者などが自転車ネットワーク路線に自転車の通行空間をつくるときの考え方を示した資料です。利用者に向けた乗り方の注意ではなく、道路の設計や維持管理の指針として書かれています。

ガイドラインでは、自転車通行空間の路面は、平坦性を確保して滑りにくい構造にするとされています(p.Ⅱ-1)。そのうえで、必要に応じて側溝やマンホールの溝蓋(グレーチング蓋)を、タイヤのはまり込みを抑えるよう格子の形状などを工夫したものや、段差や凹凸の小さいものに置き換えることや、スリップによる転倒防止のための滑り止め加工などを行うことが「望ましい」としています。維持管理の項目(p.Ⅱ-8)では、側溝と舗装の間の縦方向の段差を日頃から巡回点検し、必要な措置を行うとしています。

ただし、これは道路管理者が取り組むことが望ましいとされている内容で、すべての道路のマンホールや溝ぶたが加工・交換されているという意味ではありません。走りながら加工の有無を見分けるのも難しいため、利用者としては、メーカーの取扱説明書のとおり、マンホールや溝ぶたを滑りやすい所として扱っておくのが無難です。雨の日の出発判断や雨具の選び方など、雨天走行の全体は次の記事にまとめています。

よくある質問

表面に模様があるマンホールのふたなら、雨の日でも乗ったまま通って大丈夫ですか?

今回参照したパナソニックとブリヂストンの取扱説明書は、模様の有無で区別せず、マンホールを滑りやすい所に挙げて降りて押すよう案内しています。模様だけで安全と判断しないでください。雨の日はふたを避ける安全な進路を選び、避けられないときは手前で周囲を確かめて止まってから押して歩きましょう。

雨が止んでいれば、白線やマンホールの上も普段どおりに走れますか?

雨が止んでも、白線やマンホールが濡れている間は滑りやすいため、普段どおりに乗って通ることは勧められません。避けられない場合は、手前で安全に止まってから降りて押してください。また、ブリヂストンは濡れたブレーキを乾燥させてから使うよう案内しています。大雨や水没の後は効きを必ず確かめ、異常があれば使用を中止しましょう。

まとめ

雨の日に自転車が滑りやすいのは、マンホールや工事用の鉄板、白線などの塗装、側溝のふたや路面の溝、タイル・石張り・点字ブロック、路肩の砂や砂利・ぬかるみの上です。どの路面でも、基本は乗ったまま通らずに降りて押して歩くことです。

降り始めは乾いた所と濡れた所が混ざるため、雨が降り出した時点で早めに速度を落とします。滑りやすい場所を避けられないときは、手前で周囲の安全を確かめて止まり、降りて押してください。押して歩くにも足元が危険なら、無理に進まず経路や移動方法を変えましょう。国のガイドラインは道路管理者向けの整備指針です。加工済みと思い込まず、タイヤの模様と空気圧の点検も続けてください。

参考資料