塀や生け垣で左右が見えない交差点は、自転車と車の出会い頭の事故が起きやすい場所です。見通しのきかない交差点では、車が来ていなくても徐行が義務で、手前で一度止まり、左右が見える位置でもう一度止まって確かめれば、出会い頭の衝突を避けやすくなります。
出会い頭事故は、交わる道路から進んできた車両同士が衝突する事故です。相手の発見が遅れて止まりきれないことなどが原因になり、自転車と自動車の死亡・重傷事故では最も多い型です。道路交通法の基準に合う電動アシスト自転車も自転車として扱われ、守るルールは変わりません。事故の多さ、徐行とどちらが譲るかのルール、手前での止まり方、毎日使う道の見直し方を順に説明します。
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自転車と自動車の死亡・重傷事故は半数以上が出会い頭
令和2〜6年の5年間に全国で起きた自転車対自動車の死亡・重傷事故は27,368件で、そのうち14,982件(54.7%)が出会い頭衝突でした(警察庁の自転車ルールブック、令和7年9月公表)。事故の類型別で最も多い型です。
交差点は、自転車にとって特に事故に遭いやすい場所です。信号を守らない、一時停止をしないといった行動は、交差する道路の車や歩行者との衝突の危険を高めます(同ルールブック)。なお、この数値は自転車全体の集計で、電動アシスト自転車だけを取り出したものではありません。
2025年の兵庫県でも、自転車対車両の事故は出会い頭が半数を超える
令和7年の1年間に兵庫県内で発生した自転車と車両(自転車同士を含む)の事故は3,396件で、出会頭は1,769件、割合は52.1%でした(兵庫県「自転車の交通事故の現状」)。平成28年の3,496件(63.2%)から件数は減っていますが、令和7年も出会頭が右左折時やその他の類型より多く、半数を超えています。
ただし、全国と兵庫県の数値は集計の期間も対象も違います。全国は自動車相手の死亡・重傷事故だけ、兵庫県は軽傷を含む人身事故で、相手に自転車も含みます。並べると次のとおりです。
| 資料 | 集計期間・地域 | 集計の対象 | 出会い頭の件数と割合 |
|---|---|---|---|
| 警察庁「自転車ルールブック」 | 令和2〜6年の合計・全国 | 自動車が相手の事故のうち死亡・重傷のもの 27,368件 | 14,982件(54.7%) |
| 兵庫県「自転車の交通事故の現状」 | 令和7年・兵庫県 | 自転車対車両(自転車対自転車を含む)の人身事故 3,396件 | 1,769件(52.1%) |
令和7年中に兵庫県内で自転車に乗っていて死傷した3,473人のうち、3,028人に何らかの交通違反が認められました(同資料)。違反の内訳は「交差点安全進行義務違反」が1,204人(39.7%)で最も多く、「安全運転義務違反」671人(22.1%)、徐行場所違反321人(10.6%)と続きます。県内でも、交差点での進み方と徐行に関わる違反が多いことが分かります。
見通しのきかない交差点は、車が来なくても徐行する
左右の見とおしがきかない交差点に入るときや、交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通るときは、徐行しなければなりません(道路交通法第42条第1号)。自転車も車両に含まれるため、この規定の対象です。徐行とは、すぐに止まれる速度で進むことをいいます(同法第2条第1項第20号)。
ただし、見通しのきかない交差点での徐行義務には、交通整理が行われている場合と、自分が優先道路を通行している場合の例外があります。これは第42条第1号の例外で、道路の曲がり角付近など、第2号で徐行が求められる場所は別です。建物や植栽で見えない場所でも、止まったり他の車両を避けたりできるようにするための規定で、違反すると徐行場所違反として反則金5,000円の対象になります(ルールブック)。
この徐行義務は、車が来ていないという理由で免除されるものではありません。交通整理や優先道路についての例外に当たらない限り、左右が見えない交差点では、車の気配がなくてもすぐに止まれる速度で進みます。
塀の陰から出る前に、止まる位置を二つ決めておく
交通整理のない交差点では、たとえ交通量が少なくてもいきなり飛び出さず、安全を十分確かめて速度を落とします。道幅の狭い道から広い道へ出る場面は特に危険なので、一時停止して確かめます(国家公安委員会「交通の方法に関する教則」)。
この「安全を十分確かめる」を実際の動きにする方法の一つが、止まる位置を二つに分けることです。止まる位置までは決められていませんが、次の順で進むと、見えない状態のまま交差する道路に出るのを防ぎやすくなります。
- 交差点の手前で速度を落とし、ブレーキレバーに指を掛けておく
- 前輪が交差する道路の端に出る前に、いったん止まる
- 左右が見える位置まで少しずつ進み、もう一度止まって右・左・右を確かめる
- 車や自転車、歩行者が来ていないことを確かめてから、ふらつかないように発進する
2番目の位置に進むときも、速度はすぐに止まれる程度に抑えます。相手が見えないうちは、相手からもこちらが見えていない前提で動きましょう。カーブミラーがある場所でも、映る範囲だけで判断せず、自分の目で左右を確かめることが大切です。
信号のない交差点で、どちらの車両が優先されるかを確認する
信号機や警察官などによる交通整理が行われていない交差点では、優先道路の指定や道路の幅、車両が来る方向によって、どちらが相手に譲るかが決まります(道路交通法第36条)。一時停止の標識がある場合は、その規制にも従います。よく通る交差点で、どの標識があり、どちらの車両の進行を妨げてはいけないかを確かめておきましょう。
| 交差点の様子 | 自転車側に求められること | 根拠 |
|---|---|---|
| 交わる道路が優先道路(中央線や車両通行帯が交差点を突っ切る道路など) | 交差点に入るときは徐行し、優先道路の車両の進行を妨げない | 第36条第2項・第3項 |
| 交わる道路の幅が明らかに広い(自分が優先道路を通行している場合を除く) | 徐行し、広い道路の車両の進行を妨げない | 第36条第2項・第3項 |
| どちらも優先道路でなく、道路の幅に明らかな差がない(一時停止などの規制がある場合はその規制に従う) | 左から来る車両の進行を妨げない(左方優先) | 第36条第1項 |
| 「止まれ」の標識がある | 停止線の直前(停止線がない場合は交差点の直前)で一時停止し、交差する道路の車両の進行を妨げない | 第43条 |
優先道路や幅の広い道路の車両を妨げると優先道路通行車妨害等、左方の車両を妨げると交差点優先車妨害で、いずれも反則金5,000円の対象です(ルールブック)。左方優先は、左側通行の道路で、交差点に入る車両から見て右方から来る車両を左側によけることが難しいという関係を踏まえたものです。
自分が優先される側でも、注意しなくてよいわけではありません。交差点に入るときと交差点内を通るときは、すべての車両が、交差する道路の車両や横断する歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進まなければなりません(第36条第4項)。
右側を走らず、交差点には道路の左側から入る
車道では、自転車は原則として左側端に寄って通行します。車道を右側通行すると、通行区分違反(反則金6,000円)の対象になります。逆走が危険な理由の一つは、交差点で自転車が自動車の左方から飛び出してくると、自動車の運転者の発見が遅れ、ブレーキをかける余裕がなくなることです(ルールブック)。
近道のつもりで道路の右側を短い距離だけ走る、家の前から右側のまま次の角まで進むといった使い方も逆走にあたります。出発するときは道路の左側に寄ってから走り出し、交差点には左側から入るようにしましょう。
いつも通る道で、一時停止や安全確認が必要な交差点を確認しておく
通勤や通学、買い物で毎日通る道も、交差点の手前では速度に気を付けましょう。時間に余裕のあるときに、徒歩で、または自転車を押しながら経路を確認しておくと、信号のない交差点や、安全確認のために止まる場所を把握できます。
- 信号機のない交差点がいくつあり、そのうち「止まれ」の標識や停止線があるのはどこか
- 中央線や車両通行帯が交差点内まで続く道路、または明らかに幅の広い道路と交わる場所はどこか
- 塀、生け垣、建物、駐車車両で左右が見えない場所はどこか
- 見通しが悪いうえに、朝夕の時間帯に車や自転車の出入りが多い場所はどこか
- 見通しのよい信号交差点を使う道に変えられるか
同じ目的地でも、少し遠回りして信号のある交差点や見通しのよい道を選べば、徐行や一時停止が必要な場所を減らせます。子どもを乗せる日や荷物が多い日は、止まって発進し直す回数が少ない経路を選ぶのも一つの方法です。
相手の飛び出しに備えてヘルメットをかぶる
止まり方を工夫しても、相手の飛び出しまで防ぐことはできません。自転車を運転するときのヘルメットの着用は、道路交通法第63条の11第1項で努力義務とされています。
令和6年中に全国で亡くなった自転車乗用中の人の約5割が、頭部を負傷していました(ルールブック)。また令和2年から令和6年までの合計で、頭部を負傷した人のうちヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人の約1.4倍でした。同乗させる子どもの分も含め、頭の大きさに合うものを選び、あごひもを締めて使いましょう。
よくある質問
見通しの悪い交差点でも、車の音が聞こえなければ徐行しなくてよいですか?
交通整理が行われている場合や優先道路を通行している場合を除き、左右の見とおしがきかない交差点では徐行が必要です(道路交通法第42条第1号)。車の音が聞こえないという理由では免除されません。音の小さい車や自転車もあるため、音だけで安全と判断しないでください。
自分が優先道路を走っているときは、交差点で速度を落とさなくてよいですか?
優先道路を通っている場合は、見通しのきかない交差点についての第42条第1号の徐行義務から除かれます。ただし、道路標識による徐行の指定など、別の徐行義務までなくなるわけではありません。また、第36条第4項の「できる限り安全な速度と方法で進行」する義務は残ります。脇道から車や自転車が出てくることも考え、安全に止まれるよう備えて進みましょう。
まとめ
出会い頭の割合は、全国の5年間(令和2〜6年)の自動車相手の死亡・重傷事故で54.7%、兵庫県の令和7年の自転車対車両の事故で52.1%です。対象の違う数値ですが、どちらの資料でも出会い頭が最も多い事故の型です。
信号のない見通しの悪い交差点では徐行が義務です。交差する道路の幅や優先道路の有無で、どちらが相手の進行を妨げてはならないかが決まります。手前で一度止まり、見える位置でもう一度止まって左右を確かめ、道路の左側を走りましょう。毎日の経路で危ない交差点を先に把握し、ヘルメットで頭を守ることも合わせて準備してください。
参考資料
- 警察庁「自転車を安全・安心に利用するために-自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入-(自転車ルールブック)」(PDF・約19MB)(p.15・p.17〜19・p.22・p.42・p.44。2026年10月14日確認)
- 兵庫県「自転車の交通事故の現状」(PDF)(令和7年中の集計。2026年10月14日確認)
- e-Gov法令検索「道路交通法」(第2条第1項第20号、第36条、第42条、第43条、第63条の11。2026年10月14日確認)
- 国家公安委員会「交通の方法に関する教則」(PDF)(第3章第3節3。2026年10月14日確認)
- 警察庁「自転車に係る主な交通ルール」(PDF)(2026年10月26日確認)
- 警察庁「自転車の交通ルール(自転車ポータルサイト)」(2026年10月26日確認)
