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自転車の一時停止|「止まれ」での止まり方と反則金

住宅地の角の「止まれ」の標識の前では、スピードを落とすだけでは足りません。この標識は自転車にも向けられたもので、停止線の直前で車輪を止め、止まった状態で左右を確かめなければなりません。2026年4月1日からは、16歳以上が自転車で一時停止をしなかった場合も青切符(交通反則通告制度)の対象になり、反則金は5,000円です。

基準を満たす電動アシスト自転車でも、決まりは同じです。止まる位置、止まり方、止まった後に気を付けること、反則金と罰則、発進のときの注意を順に説明します。

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「止まれ」の標識では、自転車も止まらなければならない

信号機などで交通整理が行われていない交差点またはその手前の直近で、道路標識等によって一時停止すべきことが指定されているとき、「車両等」は停止線の直前(停止線がない場合は交差点の直前)で一時停止しなければなりません(道路交通法第43条)。車両には軽車両が含まれ(第2条第1項第8号)、軽車両の一つが自転車です(同項第11号)。そのため、自転車にも一時停止の義務があります。

この指定に使われるのが、規制標識「一時停止」(330)です(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第一)。縁と地が赤、文字と縁線が白で、表示の意味は、第43条の道路標識により「交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、車両及び路面電車が一時停止すべきことを指定すること」とされています。

自転車の交差点の通り方としても、「一時停止」の標識のあるところでは一時停止をして安全を確かめなければなりません(国家公安委員会「交通の方法に関する教則」)。条文・標識・教則のいずれも、自転車を対象から外していません。

停止線があれば線の直前、なければ交差点の直前で止まる

止まる位置は、第43条で次のように決まっています(警察庁の自転車ルールブック〈令和7年9月〉p.42にも同じ位置の図があります)。

現場の状態 止まる位置
「止まれ」の標識と停止線がある 停止線の直前
「止まれ」の標識はあるが停止線がない 交差点の直前

停止線がある場合は、その直前で止まります。前輪が線を越えてから止まったり、左右が見えにくいからといって最初から交差点の中まで出て止まったりしないでください。歩道と車道の区別がある道路では、車道の交わる部分が交差点です(道路交通法第2条第1項第5号)。停止線がない場所では、交わる道路の車道に入る手前が止まる位置の目安になります。

なお、停止線が2本並んだ「二段停止線」がある場所では、二輪の自動車・原動機付自転車・軽車両は前方の線、それ以外の車両は後方の線が停止位置です(同命令の別表第五)。自転車は前の線の直前で止まります。

「一時停止」は車輪を止めてから左右を見る

道路交通法には「何秒止まる」「足を地面に着く」といった具体的な定めはありません。一時停止では、車輪を完全に止めます。すぐに停止できる速度で進む「徐行」(第2条第1項第20号)とは異なり、ゆっくり進みながら左右を確認するだけでは一時停止になりません。

一時停止と安全確認の流れを、次に整理します(条文と教則の文言を基にした説明で、警察が示した手順をそのまま転載したものではありません)。

  1. 標識が見えたら早めに前後のブレーキを掛け、停止線の手前で速度を落とす
  2. 停止線の直前で車輪の回転が止まるまでブレーキを握る
  3. 止まった状態で右・左・右と交わる道路を確かめる
  4. 車や自転車、歩行者が来ていないと分かってから発進する

止まった位置から左右が見えない場合の進み方は、見通しの悪い交差点での徐行義務(第42条)と合わせて「自転車の出会い頭事故を防ぐには?」で詳しく説明しています。

一時停止した後も、交差する道路の車両の進行を妨げない

一時停止をした車両は、交差道路を通行する車両等の進行を妨げてはなりません(第43条後段)。止まれば自分の番になるわけではなく、止まった後も交わる道路を走る車や自転車が先です。停止線で一度止まっても、近づいてくる車の前に出て急ブレーキを踏ませれば、この後段の規定に反することになります。

交わる道路の車がまだ遠くに見える場合も、速度の見積もりを誤ることがあります。相手が通り過ぎるのを待つか、十分な距離があると確かめてから進みましょう。狭い道路から広い道路に出るときは特に危険なので、一時停止をして安全を確かめてください(教則)。交差点では一時停止の標識を守り、広い道に出るときは徐行と安全確認をすることは、電動アシスト自転車の取扱説明書でも注意点に挙げられています(パナソニック「ビビ・DX」)。

赤の点滅信号でも、停止位置で一時停止する

「止まれ」の標識がなくても、一時停止が必要な場面があります。赤色の灯火の点滅では、車両等は停止位置で一時停止しなければなりません(道路交通法施行令第2条の表)。夜間などに点滅信号に切り替わる交差点では、赤の点滅側から進む自転車も止まる必要があります。黄の点滅は、他の交通に注意して進行できるという意味です。

赤の点滅で止まらなかった場合の扱いは、第43条の違反ではなく信号無視です。信号無視の反則金は6,000円ですが、点滅信号を無視した場合は5,000円です(ルールブック資料1)。

踏切の手前での一時停止も、第43条とは別の規定(第33条第1項)で、違反の種類と反則金が異なります。踏切での止まり方は「自転車で踏切を渡るとき」で扱っています。

指定場所一時不停止等の反則金は5,000円

第43条に違反した場合の違反名は「指定場所一時不停止等」で、自転車も反則行為として反則金5,000円の対象です(ルールブックp.42)。2026年4月1日から、16歳以上の運転者には青切符による処理が行われます。

場面 違反名(ルールブック資料1) 反則金
「止まれ」の標識で止まらない、止まった後に交わる道路の車を妨げる(第43条) 指定場所一時不停止等 5,000円
赤の点滅信号で止まらない(第7条) 信号無視(点滅信号) 5,000円
左右の見通しのきかない交差点で徐行しない(交通整理が行われている場合や優先道路を通行している場合を除く。第42条) 徐行場所違反 5,000円

反則金を納めなかった場合や青切符の対象にならない場合は、刑事手続で扱われます。第43条違反の罰則は、道路交通法第119条第1項第5号で3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金です。過失による場合も、第43条の前段(止まる義務)に違反したときは10万円以下の罰金と定められています(同条第3項)。また、反則行為が原因で交通事故を起こした人は反則者に当たらず(第125条第2項第3号)、青切符ではなく刑事手続になります。

止まらなかったら必ず青切符になるわけではない

青切符の導入後も、自転車の違反は指導警告が基本で、検挙されるのは交通事故の原因となるような悪質・危険な違反です(ルールブック)。検挙の対象になる例は、違反によって歩行者を立ち止まらせたり他の車両に急ブレーキをかけさせたりしたとき、違反を同時に2つ以上行って事故の危険が高まっているとき、警察官の指導警告に従わずに違反したときです。同時に2つの違反をした例として「傘を差しながら一時不停止」が挙げられています。

16歳未満の人の違反は、原則として指導警告です。ただし、指定場所一時不停止等は自転車運転者講習の対象となる16種別の違反の一つでもあります。14歳以上の人がこれらの違反で3年以内に2回以上検挙されるなどすると、都道府県公安委員会から講習の受講を命じられます(ルールブックp.33)。

青切符を受け取った後の手続や、施行直後の告知の内訳は「電動自転車の青切符とは?」にまとめています。

2024年の自転車違反の検挙では、一時不停止等が最多

令和6年中に全国で検挙された自転車の交通違反のうち、指定場所一時不停止等は21,833件で42%を占めました(ルールブックp.19)。信号無視の21,088件(41%)と合わせると8割を超え、その他は8,643件(17%)です。令和6年の集計では、一時不停止等が自転車の違反の種類別で最も多い検挙件数でした。

兵庫県内でも、平成28年から令和2年までの自転車が第1当事者となった事故を法令違反別に見ると、件数の多い順に一時不停止、安全運転義務違反、優先通行妨害でした。この期間の自転車乗用中の死傷者の多くは、交差点内で発生しています(兵庫県警察のポスター「STOP!自転車も一時停止!」の円グラフ)。

2025年までの5年間に県内で小・中・高校生が第一当事者となった事故でも、原因は指定場所一時不停止等が最も多くなっています(兵庫県警察のちらし「6月 こどもの自転車事故 最多」令和8年5月。件数はグラフのみで、数値の記載はありません)。通学や塾通いで子どもが自転車に乗る家庭では、毎日通る道のどこに「止まれ」の標識があるかを一緒に歩いて確かめておくと、止まる場所を具体的に伝えられます。

電動自転車は停車中ペダルに足を乗せず、軽いギアで発進する

電動アシスト自転車は、一時停止の後の発進でアシストが働きます。止まる前後には、次の点に気を付けてください(例:パナソニック「ビビ・DX」〈BE-FD434・BE-FD634〉取扱説明書)。

  • 停車中は前後のブレーキを掛けた状態にし、ペダルに足を乗せない(不用意なアシスト力が働き、転倒や接触事故につながるおそれ)(p.12)
  • 発進時や低速走行時は、ペダルを強く踏み込まない(思わぬ急発進のおそれ。強く踏み込まなくても楽に発進できる)(p.12)
  • 発進時に重い変速位置を選ばない。安全のため、発進やきつい上り坂の手前ではシフトを1に合わせる(p.12・p.50)

「止まれ」の標識が見えたら、止まる前に軽いギアに切り替えておくと、取扱説明書の勧める変速位置で発進できます。変速は、足を止めるか踏む力を抜いて行います(同取扱説明書p.50)。操作の細かな条件は車種ごとに違うため、自分の車体の取扱説明書で確かめてください。走る場所や二段階右折などの交通ルールは「電動自転車の交通ルール」で解説しています。

よくある質問

左右に車がいないと分かっていても「止まれ」で止まる必要がありますか?

必要です。「止まれ」の標識がある場所では、交わる道路に車がいなくても一時停止しなければなりません(第43条前段)。止まった後も安全を確認し、交わる道路を通行する車両等の進行を妨げないようにします(同条後段)。

一時停止のとき、足を地面に着かないと違反になりますか?

道路交通法やルールブックに、足を着くことを求める記載はありません。求められているのは停止線の直前で一時停止することです。ただ、足を着かずに車輪が止まった状態を保つのは難しく、ふらついて交差点に出てしまうおそれもあります。止まったら片足を着いて車体を支えるのも一つの方法です。

まとめ

「止まれ」の標識がある交差点では、自転車も道路交通法第43条により一時停止が必要です。停止線があればその直前、なければ交差点の直前で車輪を止め、止まった状態で左右を確かめます。止まった後も交わる道路の車が優先で、その進行を妨げてはいけません。赤の点滅信号の交差点でも、停止位置で止まります。

「止まれ」の標識がある場所での一時不停止は、指定場所一時不停止等として、16歳以上なら反則金5,000円の青切符の対象です。取締りは指導警告が基本ですが、令和6年の全国の自転車の検挙では一時不停止等が42%と最も多く、兵庫県警察も一時不停止を自転車事故の主な原因として挙げています。電動アシスト自転車は、止まっている間はペダルから足を離し、軽いギアで静かに発進しましょう。

参考資料