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子ども乗せ自転車の転倒を防ぐには?|停車中に多い場面

子ども乗せ自転車の転倒は、走っている途中だけでなく、止まっているときにも起きています。東京消防庁管内で2011〜2017年に救急搬送された幼児同乗中の単独事故では、自転車の状態が分かった1,221人のうち972人(79.6%)が停車中の事故で、そのうち896人が転倒による負傷でした。子どもを座席に残して手や目を離したときや、乗せ降ろしの途中にも転倒するおそれがあります。

止まるとき、乗せ降ろしするとき、段差を越えるとき、押して歩くときの4つの場面で、何に気を付ければ転倒を減らせるかを、消費者安全調査委員会の報告書のデータとともに説明します。

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前乗せ・後ろ乗せの子供乗せ電動自転車を一覧で比べられます。座席の位置やスタンドの仕様は、候補の商品ページと取扱説明書でご確認ください。

止まっているときも走っているときも転倒は起きる

子どもを乗せた自転車の事故が「停車中に多い」か「走行中に多い」かは、集計の対象によって異なります。消費者安全調査委員会の事故等原因調査報告書「幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故」(2020年12月25日公表)は、性格の違う2つのデータを分析しています。いずれも転倒以外の事故を含むため、事故全体と転倒を分けて読みましょう。

比べる点 東京消防庁の救急搬送データ 医療機関ネットワークの事故情報
対象期間 2011年1月〜2017年12月 2010年9月〜2018年12月
対象の事故 幼児同乗中の自転車の単独事故で救急搬送されたもの(交通事故を除く) 幼児同乗中の自転車の事故で参画医療機関を受診したもの
地域 東京消防庁管内(稲城市と島しょ地区を除く東京都) 18都道府県・28医療機関
人数 1,443人(状態が分かったのは1,221人) 1,029人
停車中 972人・79.6%(状態判明1,221人に対する割合。うち転倒896人は1,221人の73.4%) 381人・37.0%(1,029人に対する割合)
走行中 145人・11.9% 501人・48.7%(最多)

救急搬送データは交通事故を除いた単独事故を対象とし、医療機関ネットワークは参画医療機関を受診した事故を対象としています。割合の違いには、こうした対象の違いが影響していると考えられます。「停車中が約8割」は、東京消防庁管内の単独事故で救急搬送された幼児のうち、自転車の状態が分かった1,221人についての数字です。子ども乗せ自転車の事故全体の割合ではありません。

どちらのデータでも、停車中と走行中の両方で一定数の子どもがけがをしています。止まっているときの対策と、走っているときの対策は別に考える必要があります。

停車中の転倒による幼児の救急搬送は、保護者が離れた・目を離した場面が半数超

救急搬送データのうち、停車中の転倒で保護者と子どもの動きが分かった532人(2011〜2017年)を場面ごとに分けると、次のとおりです。

転倒した場面(報告書の分類) 被災した幼児
保護者が子ども・自転車から離れる 150人
保護者が子ども・自転車から目を離す 141人
子どもの乗せ降ろし 102人
停車・駐輪・スタンドを立てる 46人
子どもが座席で動く 36人
子どもが自分で自転車に乗り降りする 35人
荷物の乗せ降ろし 14人
保護者が自転車に乗り降りする 8人

「離れる」と「目を離す」を合わせた291人(54.7%)は、保護者が自転車を見ていない、または支えていない間の転倒です。離れた理由には、家の鍵の開け閉め、荷物を取る、周りの自転車を動かす、傘をさす、自動販売機を使う、立ち話などがあります。子どもを座席に残してその場を離れない理由と、離れずに済ませる段取りは、別の記事で詳しく解説しています。

次に多いのが、子どもと荷物の乗せ降ろしを合わせた116人(21.8%)です。近くにいても、子どもを抱き上げる、ベルトを締める、荷物を移すといった動作中に転倒するおそれがあります。ヘルメットは乗せる前に着け、乗車後はベルトを確実に締めてください。子どもが座席にいる間は、いつでも車体を支えられる体勢を保ちましょう。

前座席に乗せている間はハンドルから手を離さない

停車中の転倒でけがをした子どもの座席には、はっきりした偏りがあります。救急搬送データ(2011〜2017年)では、停車中の転倒でけがをした896人のうち62.7%が前座席に乗っていた子どもでした。医療機関ネットワークのデータ(2010年9月〜2018年12月)でも、停車中の事故でけがをした381人のうち78.2%が前座席です。

両立スタンドを立てた自転車は、前輪と地面の接点、スタンドの左右の端で支えられています。子どもや荷物を含む全体の重心が、この3点を結ぶ三角形の上から外れると、転倒するおそれがあります。子どもの乗せ降ろしや動き、荷物を載せる位置によってもバランスは変わります。

消費者安全調査委員会は、前座席に子どもが乗った状態でスタンドを立てて停車することは、構造上とても不安定だとしています。前後どちらの座席でも、子どもを乗せたら目や手を離さず、いつでも車体を支えられる体勢を保ってください。ハンドルのふらつきを抑える機構や両立スタンドだけに頼らないことが大切です。

スタンドを立てるときは平らな場所を選ぶ

報告書の分類で「停車・駐輪・スタンドを立てる」に当たる転倒は46人、「保護者が自転車に乗り降りする」は8人でした(救急搬送データ、2011〜2017年)。子どもを乗せたまま目的地に着くと、保護者はサドルから降り、スタンドを立てるまでの間、子どもを乗せた重い車体を一人で支えることになります。

目的地では、平坦な場所に止まってから子どもを乗せ降ろししましょう。報告書は、駐輪・停車場所の傾斜を転倒リスクを高める要因に挙げています。ヤマハ発動機も、平坦な場所を選び、スタンドがロックされていることを確認してから、大人が子どもを抱いて乗せ降ろしするよう案内しています。

スタンドの掛け方は車種ごとに違うため、乗っている車体の取扱説明書の手順に従い、掛け終えるまでハンドルから手を離さないようにします。スタンドを掛ける前に、子どもに「動かないで待っていてね」と声をかけておくのも一つの方法です。坂の途中や車道との段差の上で止まらざるを得なかったときは、そこで子どもを降ろそうとせず、平らな場所まで移ってから降ろしましょう。

子どもの乗せ降ろしは、必ず大人が抱いて行う

救急搬送データの分類では、子どもが座席で動いて倒れたのが36人、子どもが自分で自転車に乗り降りしようとして倒れたのが35人でした(2011〜2017年)。後者は、足乗せステップに足をかけて上ろうとしたり、座席から飛び降りたりしてバランスが崩れた事故です。

足乗せ部分を踏み台にして乗り降りしたり、足乗せの上で立ち上がったりすると、自転車ごと倒れるおそれがあります。乗せ降ろしは、必ず保護者が子どもを抱いて行います(ヤマハ発動機)。

子どもが大きくなると、自分で座席に上りたがることがあります。家庭で「自転車の座席には自分で上らない」「降りるときは大人が抱っこするまで待つ」と決めておき、送迎のたびに同じ動作を繰り返すと習慣になります。ベルトを締めたあとも、座席で振り返る、足をばたつかせるといった動きで重心は動きます。停車中に子どもが落ち着かないときは、早めに降ろすことも考えてください。

荷物はハンドルや座席に掛けない

実際の転倒例では、ハンドルにぶら下げた荷物が、緩やかな傾斜や子どもの動きと重なって転倒の要因になっていました。ハンドルへの荷物のぶら下げは、停車中の転倒リスクを高める要因の一つです。

走行実験(4.5kgの手さげ袋をハンドルに掛ける条件)では、かごに入れた場合との間で走行安定性の数値に有意な差は出ませんでした。ただし、ハンドルに物を下げることは、自転車安全基準で取扱説明書に記載すべき禁止事項になっています。実験で差が出なかったことは、ハンドルに掛けてよいという意味ではありません。停車中の実際の転倒例では要因の一つになっていた点を覚えておきましょう。

報告書のアンケートでは、子どもを2人乗せる家庭ほど、荷物を「ハンドルにぶらさげる」「幼児座席に掛けたりくくりつける」「子どもに持たせる」といった、危険につながるおそれのある載せ方が多い傾向も出ています。送迎の荷物がかごに収まらない日は、リュックで背負う、荷物を減らすなど、ハンドルと座席に掛けずに済む方法を考えてください。

段差はできるだけ避け、越える必要があるときは減速して大きな角度で入る

医療機関ネットワークのデータ(2010年9月〜2018年12月)で走行中の事故501人を事故の形で分けると、最も多いのは「バランスくずれ」の229人(45.7%)で、巻き込み133人(26.5%。多くは後座席の子どもの足が後輪に巻き込まれたもの)、スリップ45人(9.0%)が続きます。走行中は、段差・溝・坂道・風・カーブ・狭い道、歩行者や自動車などの障害物、子どもの立ち上がりや運転者が振り向く動作、荷物による重心の偏りといった外からのきっかけでバランスを崩すことが多くなります。

消費者庁の注意喚起には、前座席に子どもを乗せて走行中に歩行者を避けたところ、側溝の柵状のふたにハンドルを取られて転倒した事例が紹介されています。後で触れる走行実験でも、前座席だけに子ども役の人形を乗せて段差を越えたときにハンドルのふらつきが大きくなっており、前に乗せているときは路面の溝やふたの手前で特に速度を落とすことが大切です。

報告書の走行実験では、車道と歩道の間にある高さ5cmの段差(歩道の車両乗り入れ部の標準的な高さ)を越えるときに、走行の安定性が最も低くなりました。段差への入り方を変えた実験では、入る角度より速度の影響が大きく、速度を落とし、段差に対して大きな角度で入るほうが安定するという結果です。消費者庁も、段差の乗り越えはできるだけ避け、やむを得ない場合は速度を落として大きな角度でゆっくり乗り越えるよう呼びかけています。

止まるときのブレーキも転倒と関係します。報告書の制動実験では、前ブレーキだけでは安定して止まりにくく、前後どちらか一方だけでは想定より止まるまでの距離が延びました。前後のブレーキを両方使い、どちらも確実に効く状態を保つことが大切です。子どもを乗せた自転車は重く、ブレーキの消耗も早くなることが考えられるため、販売店での定期点検も欠かさないようにしましょう。

走行実験では後ろ座席のほうがふらつきは小さいが、利用条件の確認が必要

報告書の走行実験では、子どもの代わりに前座席15kg・後座席22kgのダミー人形を乗せ、ハンドルのふらつきを計測しました。後座席だけに乗せた場合は全体にふらつきが小さく、前座席だけに乗せて5cmの段差を越えた場合にふらつきが大きくなっています。子どもを1人だけ乗せるときは、可能なら後座席に乗せたほうがハンドルのふらつきは小さくなると考えられます。

ただし、前後どちらの座席を使えるかは、子どもの年齢・身長・体重に加え、車体と幼児用座席それぞれの使用条件や取付適合を確認して決めてください。後座席の条件を満たさない子どもを無理に後ろへ移してはいけません。前座席を使う場合は、停車中の支持と段差の回避に特に気を配りましょう。

座席の取り付け状態もふらつきに影響します。報告書の確認実験では、後付けの前座席のうち、ハンドルの軸に対してがたつきのある取り付け方の座席は、がたつきのない座席よりハンドルのふらつきが大きくなりました。座席を手で揺すってがたつきを感じたら、子どもを乗せずに販売店へ相談しましょう。

押し歩きや漕ぎ出しは、子どもの重みでふらつきやすい

停車中と走行中のあいだにも、転倒の場面があります。救急搬送データ(2011〜2017年)では、自転車の状態が分かった1,221人のうち、一時停止中が34人、押し歩きが27人、漕ぎ出しが24人、ブレーキをかけて止まる途中が19人でした。報告書の利用者アンケート(2019年6〜8月、15施設の協力で実施)でも、事故やヒヤリハットを経験した状態は、走行中32.6%、停車中30.0%に続いて、押し歩き中14.7%、漕ぎはじめのとき7.2%となっています。

押し歩きのときも、転倒のおそれがあることを意識しておきましょう。人の多い駐輪場の通路や園の門の前など、子どもを乗せたまま押して進む場面では、ハンドルを両手で握り、狭い場所を無理に通らないようにしましょう。重い車体を押しにくいと感じる場所では、子どもを降ろしてから動かすほうが確実です。

漕ぎ出しでは、車体がまだ不安定な速度のまま、子どもの重みでハンドルが切れやすくなります。幼児座席に子どもを乗せると自転車全体が重くなり、ふらつきやすくなります。送迎を始める前や車体を買い替えたときは、人や車の少ない平らな場所で、発進・停止・押し歩きを試しておきましょう。

よくある質問

電動アシスト自転車は普通の自転車より倒れやすいのですか?

一概には言えません。報告書の利用者アンケート(2019年)では、事故やヒヤリハットの経験者の割合は電動アシストありの自転車の利用者が57.3%で、アシストなしの利用者の46.9%より高くなりました。一方で、子どもを2人乗せた走行実験では、電動アシスト付きの車体のほうが走行の安定性と運転のしやすさの両面で上回っています。アンケートの割合だけで車体の種類による倒れやすさは判断できないため、どの車体でも、この記事で挙げた停車中・乗せ降ろし・段差・押し歩きの場面に気を付けてください。

子どもを乗せたまま倒れてしまったら、自転車はそのまま使えますか?

まず子どものけがの有無を確かめ、頭を打った、様子がおかしいといった場合は医療機関に相談してください。自転車は、見た目に異常がなくても、幼児座席や荷台が変形したり、ひびが入ったりしていることがあります。転倒で変形した荷台や座席を無理に戻すと、破損の原因になるおそれがあります(ヤマハ発動機)。座席の固定部やハンドル、スタンドに違和感があれば子どもを乗せず、販売店で点検を受けましょう。

まとめ

東京消防庁の救急搬送データ(2011〜2017年、単独事故)では、状態が分かった1,221人のうち約8割が停車中の事故で、そのうち896人が転倒による負傷でした。一方、医療機関ネットワークの事故情報(2010年9月〜2018年12月)は走行中が最多です。集計対象の違いに注意しながら、停車中、乗せ降ろし、段差の通過、押し歩きの各場面で転倒を防ぐ必要があります。

停車中は、前座席に子どもを乗せた状態が特に不安定です。平坦な場所を選び、取扱説明書に従ってスタンドを掛け、ロックを確認してください。前後どちらの座席でも、子どもが乗っている間は目や手を離さず、いつでも車体を支えられる体勢を保ちましょう。荷物はハンドルや座席に掛けず、乗せ降ろしは大人が抱いて行います。走行中は段差の乗り越えをできるだけ避け、やむを得ない場合は速度を落とし、大きな進入角度でゆっくり越えてください。前後のブレーキを両方使い、日頃から点検しましょう。乗せ方と点検の全体は、チャイルドシートの安全な使い方の記事にまとめています。

参考資料