自転車で通勤・通学するとき、音楽や音声案内を聞いてよいのか、片耳なら問題ないのか気になる方もいるでしょう。兵庫県では、イヤホンの装着だけで直ちに違反となるわけではありません。ただし、安全な運転に必要な音声を聞き取れない、又は聞き取りが著しく困難になる音量で音楽などを聞くことは禁止されています。
片耳や骨伝導のイヤホンでも、周りの音が聞こえなければ同じ扱いになります。兵庫県の規則の中身、反則金と取締りの考え方、大阪府・東京都へ走るときの違いを順に説明します。
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イヤホンを着けているだけでは違反にならない
判断の分かれ目は、イヤホンの有無や形ではなく、走っている間に周りの音が聞こえているかどうかです。
| 状態 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| イヤホンを着けて走る | それだけでは直ちに交通違反に当たらない | 兵庫県警察のよくある質問 |
| 車の音や警察官の声などを聞き取れない、又は聞き取りが著しく困難になる音量で音楽等を聞く | 禁止 | 兵庫県道路交通法施行細則第9条第11号 |
| 片耳だけ、または耳をふさがない骨伝導・オープンイヤー型 | 必要な音が聞こえる限り違反にならない | 警察庁の自転車ルールブックp.49 |
| 16歳以上が違反した場合 | 公安委員会遵守事項違反として反則金5,000円の対象 | 警察庁の自転車ルールブックp.49 |
兵庫県の規則が禁じているのは「聞き取れないほどの音量」
兵庫県公安委員会が定めた兵庫県道路交通法施行細則の第9条(運転者の遵守事項)第11号に、次の規定があります。
安全な運転に必要な音声を聞き取ることが不可能又は著しく困難な程度の音量で、音楽等を聴取しないこと。
条文に「イヤホン」「ヘッドホン」「片耳」という言葉はありません。問題になるのは音楽などを聞くときの音量で、その結果、運転に必要な音が聞き取れなくなるかどうかです。条文の書き方からは、スマートフォンのスピーカーで流す場合も同じ基準になると読めます。
対象の車両も絞っていません。直前の第10号(傘差しや物を持っての運転)は自転車や二輪車を挙げていますが、第11号には車両の限定がなく、自動車の運転者にも同じ決まりがかかります。
この細則は、道路交通法第71条第6号が都道府県の公安委員会に決めることを任せた事項です。違反した場合の罰則は道路交通法第120条第1項第10号で、5万円以下の罰金と定められています。
兵庫県警察の「自転車に係る主な交通ルール等」のページには、根拠として「第9条第1項第12号」と記載されていますが、今回確認した現行細則では該当する規定は第9条第11号です。条文を確認するときは、細則本文の第11号を参照してください(2026年10月25日確認)。
片耳・骨伝導でも、周りの音が聞こえなければ違反になる
兵庫県の細則は、片耳や骨伝導といった機器の名称を個別には挙げていません。警察庁の自転車ルールブック(p.49)は、片耳のイヤホンや、耳を完全にはふさがないオープンイヤー型・骨伝導型について、安全な運転に必要な音又は声が聞こえる限り違反にはならないと説明しています。
大事なのは、機器の形式ではなく、運転中に必要な音が聞こえることです。片耳や骨伝導でも、音量のために聞き取れなくなったり、聞き取りが著しく困難になったりすれば問題になります。両耳型についても、資料に例示がないことだけで違反の有無や取締りのされやすさを決めることはできません。周囲の音を確実に聞き取れない場合は使用をやめましょう。
ノイズキャンセリングや外音取込みなどの機能があっても、機能名だけで適法・安全とは判断できません。今回参照した規則や警察の案内では、運転に必要な音が実際に聞こえるかが判断の基準です。
車の音や警察官の声など、安全な運転に必要な音を聞き取れるようにする
細則の「安全な運転に必要な音声」とは、ほかの車両などの交通に関する音、警察官の警笛や呼び声などです(兵庫県警察)。
自転車で走っていると、後ろから近づく自動車のエンジン音やロードノイズ、交差点のクラクション、救急車や消防車のサイレン、踏切の警報音、歩行者や他の自転車からの声掛けなど、耳で気付く場面が少なくありません。電動アシスト自転車も道路交通法上は自転車なので、この決まりは一般の自転車と同じようにかかります。
イヤホンを着けての運転は、周りの音が聞こえず自動車や歩行者の動きに気付けなくなり、重大な事故につながるおそれがあります。規則の文言を満たすかどうかだけでなく、これらの音に間に合うタイミングで気付けるかを基準に考えましょう。
必要な音が聞こえないイヤホン使用の反則金と、指導警告・取締りの考え方
2026年4月から自転車にも交通反則通告制度(青切符)が始まり、16歳以上の運転者が対象になりました。聞こえない状態でのイヤホン使用や傘差し運転は「公安委員会遵守事項違反」という反則行為で、反則金は5,000円です(自転車ルールブックp.49)。
自転車の違反は、悪質・危険な場合を除き、指導警告が原則です。兵庫県警察のQ&Aは、イヤホンに関する違反でも、交通への危険が生じたり事故の危険が高まったりした場合などに取締りの可能性があると説明しています。警察庁のルールブックは、指導警告に従わず違反を続ける場合も検挙対象に挙げています。取締りを受けないと決めつけず、警察官の指導に従ってください。
取締りの対象にならない場面でも、聞こえない状態で走ること自体は細則で禁じられています。「捕まらないから大丈夫」ではなく、事故を起こせば相手への賠償を求められることもあると考えておきましょう。
大阪府や東京都で走る場合も、現地のイヤホン使用ルールを確認する
周りの音が聞こえない状態でイヤホンを使う運転は、すべての都道府県で禁止されています(自転車ルールブック)。ただ、条文の言葉は都道府県ごとに違います。神戸・阪神間から大阪方面へ自転車で通勤する人や、旅行先で自転車を借りる人は、次の違いを知っておくと安心です。
| 規則 | 条文の主な言葉 | イヤホンへの言及 |
|---|---|---|
| 兵庫県道路交通法施行細則 第9条第11号 | 安全な運転に必要な音声を聞き取ることが不可能又は著しく困難な程度の音量で、音楽等を聴取しない | なし |
| 大阪府道路交通規則 第13条第4号 | 警音器、緊急自動車のサイレン、警察官の指示等が聞こえない音量で、カーオーディオ、ヘッドホンステレオ等を使用して音楽等を聴きながら運転しない | 「ヘッドホンステレオ等」 |
| 東京都道路交通規則 第8条第5号 | イヤホーン等を使用してラジオを聞く等、必要な音又は声が聞こえないような状態で運転しない | 「イヤホーン等」。難聴者の補聴器などは除外 |
機器名や例外の書き方は異なりますが、安全な運転に必要な音を聞き取れる状態を保つ必要がある点は共通しています。設定上の音量が小さいだけで判断せず、使用する機器や交通の状況によって、実際に必要な音が聞こえなくならないかを確認してください。
通話やナビの音声を使うときも、周囲の音と安全確認を優先する
道路交通法第71条第5号の5は、手で保持して使う装置による通話や、スマートフォン等の画面を注視しながらの運転を禁じています。ハンドルに固定した画面も注視してはいけません。手を使わない通話がこの号の手持ち通話に当たらないとしても、周囲の音の聞取りや安全運転の義務は別に守る必要があります。通話や画面の確認は、周囲の安全を確かめて停止してから行いましょう。
今回参照した兵庫県の資料では、「音楽等」に通話や音声案内を含めるかを個別に説明した記載までは確認できませんでした。ただし、会話や案内に気を取られたり、必要な音が聞き取りにくくなったりする状態での運転は避けてください。通話の長短で安全と判断せず、安全な場所に止まって対応しましょう。音声案内も、聞こえ方や注意に不安があれば使用をやめてください。
走り出す前に音量と聞こえ方を試しておく
音量や聞こえ方は、出発前に安全な場所で止まった状態で確認します。出発時に聞こえても、走行中は周囲の騒音や風などで変わることがあります。調整や使用中止が必要になったら、周囲の安全を確かめて停止してから操作してください。次の点も出発前に確認しましょう。
- 再生中でも、近くを通る車の音や人の話し声が聞き取れる音量にする
- 片耳を空けたことだけで安全と判断せず、音による気付きに加えて、左右や後方を目で確認できるようにする
- 音量ボタンを走行中に探さなくて済むよう、出発前に音量を決めておく
- 着信や通知の音で驚かないよう、走行中の通知を減らしておく
- 雨の日や風の強い日など、周りの音が聞き取りにくい日はイヤホンを外す
耳を空ける側だけで安全性は判断できません。周囲の音を聞き取れるか不安があるときはイヤホンを使わず、目でも安全を確認してください。傘を固定器具で差して走る場合の決まりは、別の記事で扱っています。
よくある質問
補聴器を着けて自転車に乗るのは、兵庫県の規則に反しますか?
聞こえを補うために補聴器を使うこと自体と、周囲の音を聞き取りにくくする音量で音楽等を聞くことは別です。兵庫県の細則第9条第11号は後者を禁じており、補聴器の使用自体を禁じる記載はありません。ただし、補聴器で音楽などを再生する場合まで一律に対象外とは判断しないでください。東京都道路交通規則は、難聴者が補聴器を使う場合を明文で除外しています。
中学生の子どもがイヤホンをして自転車に乗っていたら、青切符を切られますか?
青切符(反則金)の対象は16歳以上で、16歳未満の違反は原則として指導警告になります(ルールブックp.24)。とはいえ、細則第9条第11号の決まり自体は年齢に関係なくかかります。通学路は車や歩行者が多いため、家庭で音量や使う場面を話し合っておきましょう。
まとめ
兵庫県では、イヤホンを着けて自転車に乗ることだけで直ちに違反にはなりません。ただし、安全な運転に必要な音声が聞き取れない、又は聞き取りが著しく困難になる音量で音楽などを聞くことは、細則第9条第11号で禁じられています。
片耳や骨伝導・オープンイヤー型でも、運転に必要な音が聞こえることが条件です。違反の反則金は5,000円で、青切符は16歳以上が対象となります。指導警告が原則ですが、危険を生じさせた場合や警告に従わず違反を続ける場合などは検挙対象となり得ます。走行中の聞こえ方や注意に不安があれば使わず、設定変更や通話は安全な場所に止まってから行いましょう。
参考資料
- 兵庫県警察「兵庫県道路交通法施行細則」(PDF)(第9条第10号・第11号。令和8年9月1日施行の改正までを反映した版。2026年10月15日確認)
- 兵庫県警察「自転車に係る主な交通ルール等」(その他の主なルール。安全な運転に支障を及ぼす音量での音楽等の聴取の禁止。2026年10月15日確認)
- 兵庫県警察「自転車交通安全~よくある質問~」(イヤホンをしながらの運転。2026年10月15日確認)
- 警察庁「自転車を安全・安心に利用するために-自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入-(自転車ルールブック)」(PDF・約19MB)(p.24〜26、p.49。2026年10月15日確認)
- e-Gov法令検索「道路交通法」(第71条第5号の5・第6号、第120条第1項第10号。2026年10月15日確認)
- 大阪府「大阪府道路交通規則」(第13条第4号。2026年10月15日確認)
- 東京都「東京都道路交通規則」(第8条第5号。2026年10月15日確認)
