本文へスキップ
CYCLE i暮らしに寄り添う自転車
CYCLE i / コラム
CYCLE i COLUMN

左折車の巻き込みを防ぐには?|交差点での自転車の位置と確認

交差点を自転車でまっすぐ進もうとしたとき、すぐ横の車が左に曲がってきてひやりとした経験はないでしょうか。左折する車は、自転車が走っている道路の左端に向かって寄ってきます。車の左横に並んだまま交差点に入らず、左の合図を出した車の後ろについて、曲がり終えるのを見てから進めば、巻き込みの起きる位置を避けられます。

基準を満たす電動アシスト自転車も法律上は自転車なので、同じ考え方が当てはまります。左折する車が左端に寄ってくる理由、大型車の内輪差、信号待ちの位置、交差点の手前で確かめる順番を説明します。

CYCLE iで電動自転車の一覧を見る

毎日の通勤・通学や買い物で交差点を何度も通る方は、車体の大きさや重さも比べながら次の一台を探せます。

2020~2024年の自転車対自動車の死亡・重傷事故は、27.7%が右左折時

令和2年から令和6年までの5年間に全国で起きた自転車対自動車の死亡・重傷事故27,368件のうち、右左折時の事故は7,581件で27.7%でした(警察庁の自転車ルールブック、令和7年9月)。出会い頭の事故に次いで多い類型です。

兵庫県内では、令和7年中に起きた自転車対車両(自転車対自転車を含む)の交通事故3,396件のうち、右左折時の事故は1,198件でした(兵庫県「自転車の交通事故の現状」)。前年より156件少ない数です。全国と兵庫県のこれらの集計は、いずれも「右左折時」の事故をまとめたものです。この区分から左折巻き込みだけの件数や割合を取り出すことはできません。

見通しの悪い交差点で横から来る車との衝突を防ぐための確認方法は、「自転車の出会い頭事故を防ぐには?」で解説しています。

左折する車は自転車のいる左端に寄ってくる

車両が左折するときは、「あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り」、左側端に沿って徐行しなければなりません(道路交通法第34条第1項)。自動車はこの規定に従って、交差点の手前から道路の左端に近づいてきます。

一方で、自転車も原則として車道の左側端を走ります。左折しようとする車が左端に寄ってくると、直進する自転車との間隔が狭くなります。その車の左横に並んだまま交差点へ入ると、車が曲がるときに巻き込まれるおそれがあります。

また、左折しようとする車両が左端に寄るために合図をしたら、その後方にある車両は、速度や方向を急に変えなければならない場合を除いて、その進路の変更を妨げてはなりません(同条第6項)。自転車も軽車両として「車両」に含まれるため、後ろを走る自転車にもこの規定が及ぶと条文からは読めます。左の合図を出して寄ってくる車の横へ、自転車が速度を上げて入り込む走り方は、この規定の趣旨にも合いません。

大型車が左折するときは横に並ばず後ろで待つ

歩行者や自転車に乗る人も、「自動車の死角、内輪差など自動車の特性をよく知つておくこと」が大切です(交通の方法に関する教則)。左折巻き込みを考えるうえで、特に知っておきたいのがこの2つです。

内輪差とは、車が曲がるときに後輪が前輪より内側を通るために生じる、前後の車輪の通り道の差です。特に大型車は内輪差が大きく、左後方が見えにくいため、運転者は左側を通行している歩行者や自転車を巻き込まないよう注意しなければなりません(教則の運転者向けの章)。

自転車の側から見ると、トラックやバスの左側、特に車体の中ほどから後輪の横にいると、前輪が自分の前を通り過ぎた後で、後輪が自分のいる方へ寄ってくることになります。運転席から見えにくい位置でもあるため、運転者が気づかないまま曲がり始めるおそれがあります。大型車が左の合図を出しているときは、横に並ぶのではなく、後ろで止まって先に曲がってもらう方が、車輪の通り道から離れていられます。

信号待ちで車の間を縫って前に出ない

赤信号で車が止まっていると、車の左側の隙間を通って停止線まで進みたくなるかもしれません。しかし、交差点や踏切の手前などで止まっている車やゆっくり進んでいる車があるときは、「その前に割り込んだり、これらの車の間を縫つて前へ出たりしてはいけません」(教則の自転車の走行上の注意)。

車列の脇を前に出て、左折しようとしている車のすぐ横で止まると、青信号に変わった際に車と同時に動き出すおそれがあります。運転者が自転車に気付かずに左折を始めることもあるため、すぐ横に並んで待つのは危険です。

信号待ちで前に止まっている車が左の合図を出していたら、その車の後ろについて待つのが、巻き込みの起きる位置に入らないための一つの方法です。青信号になったら車が曲がり終えるのを見てから進めば、曲がる車と横に並ぶ時間をなくせます。

自転車用の停止線が前にあっても、発進前に横の車を確かめる

交差点によっては、自転車用の停止線が自動車用の停止線より自転車1台分程度前に引かれていることがあります。自転車専用通行帯などを交差点まで続ける道路で、左折巻き込み事故を防ぐために設けられるものです(国土交通省道路局・警察庁交通局「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」令和6年6月)。

この停止線がある交差点では、停止線の位置を守って止まります。自動車の運転者から見えやすい位置に自転車を止めるための工夫ですが、自転車の側が優先されていると思い込み、自動車への注意が薄れるおそれもあります(同ガイドラインが課題として挙げています)。前に出て止まれる場所でも、発進するときは横の車の合図と動きを確かめましょう。

レーンが途切れたら、左折車の後ろに一列で入る

青く塗られた通行帯や自転車道が、交差点の少し手前で終わっている道路があります。交差点の手前30m程度で自転車専用通行帯などを打ち切り、路面表示で自転車の通行位置を示して、自転車と左折する自動車を一列で通行させる設計例です(同ガイドライン)。

このような交差点では、通行帯が途切れた先で、左折する車と自転車が同じ車線の左寄りを前後に並んで進みます。通行の順番ははっきりしますが、不安に感じる利用者がいることや、通行方法を自転車と自動車の双方に知らせることが課題とされています(同ガイドライン)。通行帯が終わる地点で前の車が左の合図を出していれば、その車の後ろに入り、横から追い抜かないようにしましょう。

普通自転車専用通行帯、自転車道、矢羽根型路面表示の違いと、それぞれの走り方は「電動自転車は自転車レーンを走る?|標示別の通行方法」で解説しています。

交差点を直進する前に、周囲の車の合図・左寄せ・後輪の位置を見る

左折車と交わるかどうかは、交差点の数十メートル手前でおおむね分かります。走りながら次の順に確かめておくと、交差点に入る直前で慌てずに済みます。公的に決められた手順ではなく、条文と教則の内容を直進する自転車の動きに当てはめた順番です。

  1. 前と右後ろの車が左の方向指示器を出していないか見る
  2. 合図がなくても、速度を落として左に寄ってくる車がいないか見る
  3. 大型車が近くにいるときは、その後輪の位置と自分との距離を確かめる
  4. 左折しそうな車がいれば、速度を落として横に並ばない位置まで下がる
  5. 車が曲がり終えたか、運転者がこちらを見て止まったかを確かめてから進む

方向指示器が出ていない車も、交差点の手前で速度を落として左に寄ってきたら、曲がる可能性を考えておきましょう。側方や後方の車の動きにも十分注意する(教則)という心構えを、交差点の手前では特に意識しましょう。

自分が左折するときも左端に沿って曲がる

自転車が交差点を左に曲がるときも、道路交通法第34条第1項が当てはまります。あらかじめできる限り道路の左側端に寄り、左側端に沿って徐行して曲がります。違反すると交差点右左折方法違反として反則金3,000円の対象です(自転車ルールブック)。

自転車が左折するときも、巻き込みには注意が必要です(ルールブックの左折の図にも、大型車と自転車に「巻き込みに注意」と添えられています)。自転車が先に左端に沿って曲がろうとしているときでも、すぐ後ろや右横に左折する大型車がいれば、その車も同じ方向へ曲がってきます。曲がる前に後ろを振り返り、左折しそうな車が迫っている場合は無理に先に曲がらず、いったん止まってやり過ごす判断も必要です。

左折の合図の形や出し始める位置は「自転車の手信号」の記事で、交差点での信号の見方や二段階右折は「電動自転車の交通ルール|車道・歩道・交差点の走り方」で解説しています。

よくある質問

左折する車の運転者は自転車に注意する義務があるのではありませんか?

運転者は、左側を通行している自転車などを巻き込まないよう注意しなければなりません(教則)。ただし大型車は左後方が見えにくく、運転者が注意していても自転車が見えない位置があります。事故が起きたときにどちらの責任になるかとは別に、けがを防ぐには自転車の側でも横に並ばない位置を選ぶことが役に立ちます。

電動アシスト自転車でも同じルールで走ればよいのですか?

はい。道路交通法では、基準を満たす電動アシスト自転車も自転車として扱われます。左側端の通行、左折の方法、信号待ちで車の間を縫って前に出ないことなど、この記事で紹介した内容はそのまま当てはまります。青信号に変わっても、すぐに車の横へ出ていかず、発進前に左折車の動きを見ておきましょう。

まとめ

左折する車は道路の左端に寄ってくるため、車の左横は自転車にとって巻き込みが起きやすい位置です。全国では令和2〜6年の自転車対自動車の死亡・重傷事故のうち右左折時が27.7%を占め、兵庫県でも令和7年に右左折時の事故が1,198件ありました。ただし、ここで参照した資料では左折巻き込みだけの件数は示されていません。

信号待ちでは車の間を縫って前に出ず、左の合図を出した車の後ろにつきます。大型車の内輪差と死角を意識し、交差点の手前で車の合図と寄り方を確かめ、曲がり終えたのを見てから進みましょう。自分が左折するときも左端に沿って曲がり、後ろの大型車に先を譲る判断を持っておくと安心です。

参考資料