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ローラーブレーキとは?|仕組みとグリス補給の注意

後輪にローラーブレーキが付いている自転車で、ブレーキをかけると音が鳴る、急に効く、効きが弱いと感じたら、内部の専用グリスが切れている可能性があります。原因の確認とグリスの補給は販売店に頼み、手近な油やスプレーは吹き付けないでください。

ローラーブレーキは、シティサイクルや電動アシスト自転車の後輪によく使われています。車輪の中心にある丸いケースの中で止める仕組みなので、リムをシューで挟むブレーキのように動きが外から見えません。止まる仕組み、ほかのブレーキとの違い、グリスの役割と補給の目安を順に説明します。補給作業そのものは販売店に頼む前提です。

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かご、荷台、スタンドなど、車体に取り付ける用品を掲載しています。ローラーブレーキのグリス補給やブレーキ部品の交換は、車体を見て作業できる自転車店にお任せください。

ローラーブレーキはハブの中のドラムにシューを押し当てて止める

ローラーブレーキは「ハブ部に抵抗を加えるブレーキ装置」です(ブリヂストンサイクルFAQ)。ハブは車輪の中心で回転を支える部分です。ローラーブレーキはこのハブに取り付けられ、JIS(日本産業規格)のブレーキ本体の種類区分では「ローラブレーキ」に分類されます。

レバーを握ってから止まるまでは、次の順に動きます。

  1. ブレーキレバーを握ると、ワイヤーが引かれてブレーキ本体の内部にあるカムが回転する
  2. カムの回転に連動して、ローラーが外側に押し出される
  3. ローラーがブレーキシューを外側に押し広げる
  4. ブレーキシューが、ハブ側に固定されているドラムの内側に接触して制動する

つまり、車輪と一緒に回るドラムに、内側からシューを押し付けて止める仕組みです。リムをゴムのシューで挟むブレーキとは、こすれ合う場所が違います。ローラーやシューが動く様子はケースの外から見えないため、利用者は効き方や音の変化に注意してください。

機構部分は耐水構造のカバーで覆われており、雨やほこりの影響を受けにくく、安定したブレーキ力を発揮できるとされています(ブリヂストンサイクルFAQ)。外から見えている丸いケースが、このカバーに当たります。

バンド・ディスクブレーキとはこすれ合う部品が違う

後輪の車輪の中心付近で止めるブレーキは、ローラーブレーキだけではありません。バンドブレーキとディスクブレーキも同じく「ハブ部に抵抗を加えるブレーキ装置」で、JISの種類区分ではそれぞれ別の区分に入ります(ブリヂストンサイクルFAQ 用語集)。3つの違いは次のとおりです。

種類 止める仕組み こすれ合う部品
ローラーブレーキ カムの回転でローラーが押し出され、ブレーキシューを外側に押し広げる ブレーキシューとハブ側のドラム
バンドブレーキ ブレーキライニングと呼ばれる帯(バンド)を、ハブ側のドラムに巻き付ける 帯(ブレーキライニング)とドラム
ディスクブレーキ ハブ側に取り付けた円盤(ブレーキローター)を、ブレーキパッドで挟む ブレーキパッドとローター

ディスクブレーキは、ローターと呼ばれる金属の円盤が外から見えるので区別しやすい方式です。油圧で作動する「油圧式」と、ワイヤーを引いて作動させる「機械式」の2種類に大きく分かれます。一方、ローラーブレーキとバンドブレーキは、どちらも丸いケースに覆われていて見た目が似ています。

手入れの面では、ローラーブレーキは内部に専用グリスを入れて使う方式だという点が、ほかの2つと大きく違います。自分の自転車がどの方式か分からないときの見分け方は、ブレーキの種類の記事で写真の撮り方とあわせて紹介しています。

専用グリスは部品のすり減りを抑えるために入っている

ローラーブレーキは、部品の消耗を抑えるため、ブレーキ本体の内部に専用グリスを充填して使います(ブリヂストンサイクルFAQ)。

ブレーキなのに潤滑剤を入れる点は意外に感じるかもしれません。ただ、ローラーブレーキは専用グリスを前提に作られている部品で、専用グリスを充填せず内部のグリス切れが起きた場合、ブレーキの制動異常や異音の原因になります(同FAQ)。グリスがなくなると、止まり方そのものに影響するということです。

前輪のリムブレーキでは、制動面に油が付くと効かなくなるため注油が禁じられています。同じ「ブレーキ」でも、ローラーブレーキは決められたグリスが入っていることで正常に働く、という違いを押さえておくと、手入れの考え方を取り違えずに済みます。

フィン付きのローラーブレーキはグリスが長持ちする

ローラーブレーキの中には、ケースの外側に放熱用のひだ(フィン)が付いたものがあります。フィンはブレーキ本体内部の温度上昇を抑えるためのもので、フィン付きはフィン無しと比べて専用グリスが2〜5倍長持ちします(ブリヂストンサイクルFAQ)。

ブレーキをかけ続けると、こすれ合う部分は熱を持ちます。長い下り坂を前後どちらかのブレーキだけで下ると、制動部が非常に熱くなり、効きが大幅に低下して危険です(ブリヂストン取扱説明書)。坂の多い地域で乗る、重い荷物や子どもを乗せることが多いといった使い方では、フィンの有無を車種選びの材料にしてもよいでしょう。

ただし、2〜5倍という幅はFAQに示された比較であり、補給がいらなくなるという意味ではありません。フィン付きでも、後で紹介するメーカーごとの目安や症状に合わせて点検を受けることに変わりはありません。

音鳴りや効き方の急な変化があれば、グリス切れを疑って販売店へ

ローラーブレーキで次の症状が出たら、販売店に相談してください(ブリヂストン取扱説明書 シティサイクル・実用車編)。

  • ブレーキをかけたとき、音鳴りがする
  • ブレーキが急激にきく
  • ブレーキのききが異常に弱い

これらの症状は、内部のグリス切れによって起こることがあります。販売店で原因を確かめ、必要に応じてローラーブレーキ専用グリスを補給してもらってください。音だけでなく、効きすぎる方向にも、効かない方向にも変化が出る点に注意が必要です。

いずれの症状も、ブレーキの止まり方に関わる変化です。症状に気づいたら乗るのをやめ、販売店に点検と持ち込み方法を相談してください。後ろブレーキの音は、ブレーキの種類や車輪の周りの部品によっても出るため、音の出る条件の整理のしかたは後ろブレーキが鳴くときの記事を参考にしてください。

グリスの補給は1〜2年に1回を目安に頼む

症状が出る前の補給の目安は、メーカーによって1年ごと、1〜2年に1回程度と幅があります(2026年10月14日時点)。

メーカーと資料 補給の目安 あわせて書かれていること
パナソニック『ビビ・DX』取扱説明書 確実な制動力を得るため、リアブレーキには通常1〜2年に1回程度 販売店で専用グリス(同社品番NBP002)を補給する
ヤマハ発動機 サポートQ&A 後輪がローラーブレーキのPASでは1年ごとに専用グリスの充填が必要 PAS取扱店での定期的な点検を勧めている
ブリヂストン取扱説明書(シティサイクル・実用車編) 年数の記載はなく、音鳴り・急激にきく・ききが異常に弱いときに補給 お手入れのページで「販売店で専用グリスの補給が必要」と記載

表のパナソニックは電動アシスト自転車1車種の取扱説明書、ヤマハはPASシリーズについての案内です。お乗りの自転車の取扱説明書に別の記載がある場合は、そちらを優先してください。

電動アシスト自転車に乗っている場合は、目安より早めの点検も考えておきましょう。電動アシスト自転車は車両質量が一般の自転車より重く、その分だけ専用グリスなどが早く消耗することがあります(パナソニック取扱説明書)。年に一度の定期点検のときに、ローラーブレーキのグリスの状態も見てもらうよう頼んでおくと、補給の時期を逃しにくくなります。

専用グリス以外のグリスや油は入れない

ローラーブレーキのグリス補給には、専用グリス以外を使ってはいけません。制動力が低下し、転倒や衝突によるけがにつながるおそれがあるためです(パナソニック取扱説明書の警告「ローラーブレーキグリスの補給には、ローラーブレーキ専用グリス以外は使用しない」)。同説明書の注油箇所の図でも、リアブレーキは注油禁止の場所で、メンテナンスをする場合は専用グリスを使います。

ブリヂストンの取扱説明書でも、ローラーブレーキは販売店で専用グリスの補給が必要とされ、チェーンなどの注油とは分けて扱われています(お手入れのページ)。グリスという名前が同じでも、自転車のほかの場所に使うグリスや、家にある潤滑スプレー・ミシン油は、ローラーブレーキ専用グリスの代わりになりません。

音が気になると、手近な潤滑剤を吹き付けたくなるかもしれません。ブレーキの周りには何も付けずに、そのままの状態で販売店に持ち込みましょう。すでに何か付けてしまった場合は、使った製品名を販売店に伝えてください。

グリス穴が隠れていることもあり、補給は販売店に任せる

ブリヂストンとパナソニックの取扱説明書は、ローラーブレーキの専用グリスを販売店で補給するよう案内しています。補給が必要かどうかの判断も含め、販売店に依頼してください。

ブリヂストンの取扱説明書では、グリス穴がフレームに隠れている場合、ホイールをフレームから外して補給すると説明されています。また、内装変速機や外装変速機の調整は、誤ると変速不良やチェーン外れ、部品の破損につながるため、販売店への依頼が必要とされています。グリス補給に車輪の取り外しが必要かも含め、販売店に確認してください。

ブリヂストンの取扱説明書では、初回点検の後も、購入後6か月以内、12か月以内、その後は1年ごとと、異常を感じた場合に販売店で点検を受けるよう案内しています。点検を頼むときに「後ろのローラーブレーキのグリスも見てほしい」と伝えておくと、補給の必要性も確認してもらいやすくなります。

販売店には車名・フィンの有無と、いつからどんな症状があるかを伝える

ローラーブレーキの点検やグリスの補給を頼むときは、次のことをメモしておくと話が早く進みます。

  • メーカー、車名、型式(取扱説明書や車体のシールに記載)
  • 後輪のブレーキの丸いケースにフィンがあるか、刻印や型番の表示があるか(写真でも可)
  • 音鳴り、急に効く、効きが弱いのどれに当たるか。いつごろから気づいたか
  • 最後にグリスを補給した時期、または購入してからの年数
  • 坂道、子どもや荷物を乗せての走行など、ブレーキをよく使う乗り方か
  • 自分で何か油やスプレーを付けたか

ブレーキをかけていないのに後輪が重い、レバーの動きが渋いといった症状が一緒に出ている場合は、ワイヤーや調整の不具合も考えられます。そうした症状の確かめ方と相談先は、ブレーキの引きずりの記事にまとめています。

よくある質問

ローラーブレーキとディスクブレーキは、どちらがよく効きますか?

どちらがよく効くかは、方式だけでは決まりません。止まり方は、ブレーキの方式だけでなく、整備の状態やタイヤ、路面、乗せている重さでも変わります。どちらの方式でも、取扱説明書の点検と販売店での定期点検を続けることが大切です。

ローラーブレーキは雨の日でも効き方が変わりませんか?

機構部分は耐水構造のカバーで覆われ、雨やほこりの影響を受けにくいとされています(ブリヂストンサイクルFAQ)。ただし、自転車全体では雨天時にブレーキがききにくくなり、制動距離が長くなるため、速度を落として走ってください(ブリヂストン取扱説明書)。前輪のブレーキの効きやタイヤの滑りやすさにも注意が必要です。

グリスを補給しても音が消えないのはなぜですか?

後ろブレーキの音は、グリス切れ以外の原因で出ていることもあります。補給後も音が続く、効き方が戻らない場合は、作業した販売店にその旨を伝えて、もう一度点検を受けてください。

まとめ

ローラーブレーキは、レバーを握るとブレーキ本体内部のカムが回り、ローラーに押されたシューがドラムに当たって止まる仕組みのブレーキです。耐水構造のカバーに覆われ、部品のすり減りを抑えるために専用グリスを入れて使う点が、バンドブレーキやディスクブレーキと違います。

音鳴り、急に効く、効きが異常に弱いといった変化は、グリス切れの可能性があります。補給の目安はパナソニックが1〜2年に1回程度、ヤマハがPASで1年ごとと資料によって異なり、電動アシスト自転車は消耗が早くなることもあります。専用グリス以外の油やグリスは使わず、補給は販売店に頼みましょう。

参考資料