レバーを握っていないのにブレーキが掛かったままになる。レバーを握るのに以前より力が要る、放した後の戻りが遅い。こうした変化に気づいたら、その自転車で出掛けるのはやめて、販売店で点検を受けてください。
乗る前には、車輪の回り方、ブレーキシューの当たり方、ワイヤーのさびなどを確認します。ねじを回す調整や部品の分解はせず、見つけた症状を販売店へ伝えるための確認点を、パナソニックとブリヂストンの取扱説明書に沿って説明します。
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かご、荷台、サイクルカバーなどの用品を掲載しています。ブレーキの調整や部品交換は、車体を見られる自転車店にご相談ください。
引きずりやレバーの重さに気づいたら乗るのをやめる
引きずりは、レバーを握っていないのにブレーキが掛かる状態です。また、レバーの作動が重いと、止まりたいときに必要な力で握り切れないおそれがあります。どちらもブレーキの働きに関わる変化なので、「少し重いだけ」と判断して乗り続けないでください。
電動アシスト自転車は一般の自転車より車体が重く、ブレーキシューや専用グリスの消耗が早くなることがあります(パナソニック取扱説明書)。前後のブレーキは乗る前に点検し、不具合があれば調整や交換を販売店に頼むのが両社共通の案内です。
乗るのをやめた後は、自転車を押して運べるかを確かめます。車輪がほとんど回らない、押すと擦れる音が大きいときは無理に押さず、持ち込みや引き取りの方法を販売店に相談しましょう。
「戻らない」と「重い」は分けて伝える
同じ「ブレーキがおかしい」でも、レバーを放してもブレーキが掛かったままなのか、レバー自体の動きが渋いのかで、販売店が点検する場所は変わります。取扱説明書で使われている言葉に合わせると、話が通じやすくなります。
| 症状 | 取扱説明書での呼び方 | どういう状態か |
|---|---|---|
| レバーを放してもブレーキが掛かったまま | ブレーキの引きずり | ブレーキをかけていないのにブレーキがかかってしまう状態 |
| レバーを放してもゴムがリムに付いている | ブレーキシューがリムに当たったまま | シューがリムから離れない状態。販売店に相談する場合の一つ |
| レバーを握るのに力が要る | レバーの作動が重い | レバーを動かすときに抵抗が大きく、握りにくい状態 |
| レバーの動きが引っかかる・戻りが遅い | 動作が円滑でない | レバーを操作したときの動きが滑らかでない状態 |
「ブレーキが戻らない」と感じたときは、レバー自体が戻りにくいのか、レバーを放してもシューがリムに当たっているのかなど、分かる範囲で見えた状態を伝えてください。原因を自分で特定してから相談する必要はありません。
乗る前に確認したい、ブレーキの引きずりに関係する5項目
取扱説明書の乗る前の点検項目のうち、引きずりとレバーの重さに関係するものは次の5つです。点検は平らな場所で自転車をスタンドで立て、乗らずに行います。電動アシスト自転車は電源を切ってください。
| 確かめること | 見方 | 異常があったとき |
|---|---|---|
| レバーの作動 | 左右のレバーを一方ずつ握り、作動が重くないか、動きが滑らかか | 乗らずに販売店へ |
| 前後車輪の回転 | レバーを握らない状態で車輪を回し、重くないか(電動アシスト自転車は電源を入れずに) | 乗らずに販売店へ |
| シューの当たり(リムブレーキ) | レバーを放した状態で、ブレーキシューがリムに当たったままになっていないか | 販売店に相談 |
| ブレーキワイヤー | さび、切れ、ほつれ、折れがないか | 乗らずに販売店へ |
| レバーの固定 | レバーの取り付け部を指で押して、ずれたり動いたりしないか | 乗らずに販売店へ |
毎回同じ順で見ておくと、前日との違いに気づきやすくなります。車輪を回すときは、スポークやブレーキの隙間に指を入れないようにしてください。
電源を切って前後の車輪の回り方を比べる
電動アシスト自転車は、電源を入れずに車輪を回して重さを確かめます(パナソニック取扱説明書)。車輪は手でゆっくり回し、止まるまでの様子を前後で比べます。
片方だけ早く止まる、一回転ごとに擦れる音がする場合は引きずりを疑います。電動アシスト自転車はモーターの補助があるため、抵抗が増えても走れてしまい、気づかないうちに部品の消耗が進むことがあります。空気圧不足やチェーンの油切れでも同じことが起きる点は、CYCLE iのよくある質問でも説明しています。
泥よけや錠の接触、車輪の振れなど、ブレーキ以外の問題で車輪が回りにくくなることもあります。また、走行中に重く感じる場合は、空気圧不足なども確認が必要です。ブレーキ以外も含めた確認点は、車輪が回りにくいときの記事にまとめています。
シューがリムに当たったままなら、押し戻さずに店へ
前輪のキャリパーブレーキのようなリムブレーキでは、ゴムのブレーキシューが車輪のリムを挟んで止めます。シューがリムに当たったままになっているのは、販売店に相談すべき状態の一つです(ブリヂストン取扱説明書)。ブレーキをかけたときにシューがリムからずれている、シューの溝の残りが1mm以下になった、ブレーキのききが悪くなった場合も同じです。
シューがリムではなくタイヤ側に触れていると、そのまま走るとパンクの原因になります(パナソニック取扱説明書)。横から見て、タイヤに当たっていないかも確かめましょう。
シューの位置を手で押し戻したり、ブレーキ本体を広げたりして離そうとしないでください。ブレーキの調整は販売店に頼むものとされています。当たっている側と前後どちらかを写真に残して相談すると、状況を伝えやすくなります。
レバーが重いときはブレーキワイヤーのさびを見る
レバーを握る力が以前より必要になった、放したときの戻りが遅いという症状では、ブレーキワイヤー(ケーブル)の状態を確かめます。さびやほつれがないかは、両社とも乗る前の点検項目に入れています。
転倒したときに、ワイヤーがかごやブレーキとフレームの間に挟まって傷つくこともあります(ブリヂストン取扱説明書)。転倒の後からレバーが重くなった場合は、外側のケーブルが潰れたり折れたりしていないかを見て、異常があれば乗らずに販売店に相談してください。
ほつれた金属線は指に刺さることがあるため、素手でなぞらないようにします。ケーブルを引っ張って動きを確かめたり、調整部を回したりするのも避けましょう。
ブレーキの注油箇所は取扱説明書で確認し、リムやシューには油を付けない
取扱説明書には、日頃の手入れとして注油する場所と、注油を禁止する場所が図で示されています。ブレーキ周りに関係する部分は次のとおりです。
| 部位 | パナソニック『ビビ・DX』 | ブリヂストン(シティサイクル・実用車編) |
|---|---|---|
| ブレーキレバー(左右) | レバーの可動部とケーブルの固定部に注油(ケーブルがさびて切れやすくなるのを防ぐ) | ワイヤーとレバーの固定部に注油 |
| 前ブレーキ(ブレーキシュー) | 注油禁止 | 注油禁止 |
| リム(前後) | 注油禁止 | 注油禁止 |
| タイヤ(前後) | 注油禁止。油が付いたらすぐふき取る | 注油禁止。ワックスも禁止 |
| 後ろのブレーキ | 注油禁止。手入れには専用グリス(同社品番NBP002)を使う | 注油禁止。ローラーブレーキは販売店で専用グリスを補給する |
注油する場所は、乗っている車種の取扱説明書で確認してください。ブリヂストンの参照した説明書では、指定箇所への注油は1〜2か月に1回程度とされ、自転車用油を使い、余分な油は乾いた布でふき取ります。注油禁止箇所に油・グリス・ワックスを付けないでください。ローラーブレーキ内部への専用グリス補給は、販売店に依頼する別の手入れです。
取扱説明書の注油は、指定箇所に行う定期的な手入れです。すでにレバーの重さや引きずりがある場合は、原因を確かめず注油で様子を見るのではなく、販売店で点検を受けてください。リムやシューに油が付くとブレーキが効きにくくなるので、スプレー式の潤滑剤をブレーキ周りに吹き付けるのも避けましょう。
ローラーブレーキの専用グリス補給は、販売店に依頼する
シティサイクルや電動アシスト自転車には、後輪のハブに取り付けられるローラーブレーキを使う車種があります。ブレーキをかけたときに音鳴りがする、急激にきく、ききが異常に弱い場合は、内部のグリス切れが考えられ、販売店で専用グリスを補給してもらいます(ブリヂストン取扱説明書)。
補給の目安は、通常1〜2年に1回程度です(パナソニック取扱説明書)。グリス穴が見えていても、手元にある油やグリスを入れるのはやめてください。ローラーブレーキの仕組みや、グリス補給を販売店に任せる理由は別の記事で詳しく説明しています。
一充電で走れる距離が短くなったときも、ブレーキの引きずりを確認する
電動アシスト自転車では、引きずりがバッテリーの減り方に表れることがあります。パナソニックの取扱説明書の「故障かな?」の表でも、短い走行で残量表示が点滅を始める症状の確認項目に、タイヤの空気圧と並んでブレーキの調整が挙がっています。
バッテリーが古くなったと決める前に、前後の車輪が軽く回るか、レバーを放したときにシューが離れているかを見ておきましょう。どちらにも異常がなく、充電しても走れる距離が新品時の約50%以下まで減っている場合は、バッテリーの交換時期です(パナソニックの案内)。
ブレーキワイヤーは異常がなくても2年に1回は交換する
ワイヤーは見た目がきれいでも内部でさびが進むことがあるため、両社とも外観に異常がなくても2年に1回は交換するよう求めています。購入から2年以上たって交換した記録がない場合は、レバーの重さが出る前でも販売店で交換の相談をしておくと安心です。交換を頼むときに見ておきたい劣化のサインや、見積もりで確かめる項目は、ブレーキワイヤー交換の記事で解説しています。
定期点検の時期は、パナソニックが初回(2か月以内)と以降6か月ごと、ブリヂストンが初回(使用開始後2か月以内または100km到達時)、購入後6か月以内、12か月以内、その後は1年ごとです。点検のたびにブレーキの状態を聞いておくと、変化に気づきやすくなります。
ブレーキが故障した自転車は公道を走れない
ブレーキがない自転車やブレーキが故障した自転車は、運転してはいけません(道路交通法第63条の9第1項)。自転車制動装置不良の反則金は5,000円で、青切符の対象は16歳以上です。また、この違反は自転車運転者講習の対象となる危険行為の一つです。14歳以上の人が、対象の危険行為による検挙や交通事故を3年以内に2回以上繰り返すと、公安委員会から受講を命じられます(警察庁 自転車ルールブック)。
引きずりやレバーの重さが気になるときは、自分で「この程度なら大丈夫」と判断せず、販売店の点検で異常がないことを確認してから乗ってください。
販売店にはブレーキの前後と症状の始まりを伝える
点検を頼むときは、次の内容をメモしておくと症状を正確に伝えられます。写真は自転車を止めた状態で撮れば十分です。
- メーカー、車名、型式、購入した時期と店
- 前後どちらのブレーキか(左右どちらのレバーか)
- レバーを放してもブレーキが掛かる、レバーの動きが重い、戻りが遅いなど、見られる症状
- いつから気づいたか、急に起きたか少しずつ重くなったか
- 転倒、雨の日の保管、洗車、注油、部品交換など直前の出来事
- ブレーキワイヤーを最後に交換した時期(分かれば)
相談先は、ふだん点検を頼んでいる自転車店か購入した販売店です。ブリヂストンの取扱説明書では、インターネットや通信販売で買った場合は販売元に問い合わせ、保証の対象かどうかは販売店が自転車と保証書を確認して判断すると案内しています。近所の自転車店に修理を頼む場合も、受付の可否と費用を確認してください。CYCLE iで購入した車体で初期不良が疑われる場合は、まずCYCLE iへご連絡ください。
よくある質問
ブレーキが少し引きずっていても、店まで乗っていけますか?
乗っていくのはやめ、販売店に点検と持ち込み方法を相談してください。車輪がほとんど回らない場合は無理に押さず、引き取りや出張に対応できるかも確認しましょう。
レバーが重いので、潤滑スプレーを吹けば直りますか?
原因を確かめずに吹き付けないでください。取扱説明書の注油は、指定箇所に行う定期的な手入れです。スプレーがリムやシューに付くとブレーキが効きにくくなるため、レバーが重いなどの症状がある場合は、販売店で点検を受けてください。
左右のレバーで重さが違うのは引きずりですか?
前輪と後輪でブレーキの種類が違うと、レバーの感触が違うことがあります。ただ、以前より急に変わった場合や、片方だけ効き方が違う場合は点検が必要です。片方だけ効く症状は別の記事で扱っています。
まとめ
ブレーキが掛かったままになる「引きずり」や、レバーが重い・戻りが遅いと気づいたら、その自転車には乗らずに販売店で点検を受けます。乗る前には、電源を切って前後の車輪の回り方を比べ、シューがリムに当たったままになっていないか、ブレーキワイヤーにさびやほつれがないかを見ましょう。
ブレーキ周りの注油は、乗っている車種の取扱説明書が指定する箇所だけに行い、リム、ブレーキシュー、タイヤには油を付けません。ローラーブレーキの専用グリス補給は販売店に依頼します。ブリヂストンの参照した取扱説明書では、ブレーキワイヤーは異常がなくても2年に1回の交換を求めています。車種ごとの交換時期を確認し、症状、前後どちらか、いつからかを販売店に伝えてください。
参考資料
- パナソニック サイクルテック「取扱説明書 電動アシスト自転車 ビビ・DX BE-FD434・BE-FD634」(PDF)(NYT2168、2026年10月14日確認)
- ブリヂストンサイクル「取扱説明書(シティサイクル・実用車編)」(PDF)(2026年10月14日確認)
- 警察庁「自転車を安全・安心に利用するために-自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入-(自転車ルールブック)」(PDF・約19MB)(2026年10月14日確認)
- CYCLE i「よくある質問」(2026年10月14日確認)
- ブリヂストンサイクル「ローラーブレーキ(FAQ)」(2026年10月26日確認)
