自転車のBAAマークは、一般社団法人自転車協会が業界の自主基準として定めた「自転車安全基準」に適合した自転車へ表示されるマークです。ブレーキ、フレーム、ハンドル、ペダル、スポーク、リフレクターなど、車体の安全に関わる項目が検査対象になります。
BAAマークは、購入後の個別車体が現在も点検済みであることや、利用者向けの自転車保険へ加入していることを示すものではありません。また、電動アシスト自転車の法令適合を示す型式認定TSマークとも役割が異なります。マークの発行主体と対象を分けて確認しましょう。
安全表示と車体仕様を確認して電動自転車を比較
BAAや型式認定表示だけでなく、用途、車体寸法、ブレーキ、ライトなどを確認しながら、cycle-iの電動自転車一覧をご覧ください。
BAAは自転車協会の自主基準への適合表示
BAAは、自転車協会が利用者の安全を考えて制定した自転車安全基準に適合することを示します。国が個々の自転車を直接検査して貼るマークではなく、協会の制度へ参加する製造事業者または輸入事業者が、定められた手順に基づいて表示します。
「業界の自主基準」は、販売者が自由に安全だと宣言するだけという意味ではありません。BAAマークを表示しようとする事業者は、協会が定めた検査と表示のルールに従う必要があります。
BAAマークを表示する製造事業者・輸入事業者は、表示したい型式ごとに代表車1台について、自転車安全基準へ適合するか検査します。自転車協会は、毎年無作為にBAAマーク付き自転車を購入し、実際に基準へ適合しているかを公的検査機関へ委託して確認する商品検査も行っています。
型式検査は、利用者が所有する一台を毎年持ち込んで受ける定期点検ではありません。購入後の緩み、摩耗、転倒による損傷まで、BAAマークが継続して保証するものではない点に注意してください。
約90か所の検査項目がある
自転車協会のFAQでは、自転車安全基準に約90か所の検査項目があると案内しています。例として、ブレーキ・制動性能、フレーム強度、ハンドル衝撃、ペダル強度、スポーク張力、リフレクターの光度などが挙げられています。
検査項目は車体の幅広い部分に及びますが、利用者の用途へ必ず合うことまで示すものではありません。子ども乗せ、通勤、坂道、積載など、自分の使い方に必要な仕様は別に確認します。
BAA・二つのTSマークは目的が異なる
| 表示 | 主な主体・貼付者 | 示す内容 | 保険 |
|---|---|---|---|
| BAAマーク | 自転車協会の制度に参加する製造・輸入事業者 | 自転車安全基準へ適合する型式 | 利用者向け付帯保険ではない |
| 型式認定TSマーク | 国家公安委員会の型式認定を受けた事業者 | 道路交通法令上の型式基準への適合 | マーク自体に利用者向け保険はない |
| 点検整備済TSマーク | 自転車安全整備士 | 個々の普通自転車を点検確認したこと | 賠償責任・傷害保険等が付帯 |
同じ自転車へ複数のマークが表示されることもあります。どれか一つが他の役割を兼ねるとは考えず、マークの名称、番号、日付、発行主体を確認してください。
型式認定のTSマークは電動アシスト自転車の法令基準への適合を示す
警察庁は、国家公安委員会の型式認定を受けた駆動補助機付自転車が、道路交通法令に規定された基準へ適合し、型式認定番号とTSマークを表示できると案内しています。アシスト比率、アシスト機能、安全に停止する性能などが試験対象です。
したがって、電動アシスト自転車が法令上のアシスト基準へ適合するかを確認するとき、BAAだけを型式認定の代わりにしません。型式認定番号とTSマーク、メーカー・型式を照合します。
点検整備済TSマークは車体の点検日と付帯保険の期限を確認する
点検整備済TSマークは、自転車安全整備店に勤務する自転車安全整備士が、点検確認した普通自転車へ貼るシールです。点検基準日と整備士番号が記載され、付帯保険の有効期間は点検日から1年間です。
BAA付きの自転車でも、購入後の点検を省略できるわけではありません。点検整備済TSマークの色、保険範囲、取得方法は、電動自転車のTSマークの違いで詳しく解説しています。
TSマークの2種類と型式認定の関係は、別記事で詳しく扱っています。
BAAのPL保険と利用者の自転車保険を分ける
自転車協会は、BAAマークを表示する製造事業者または輸入事業者に、生産物賠償責任保険(PL保険)への加入を義務付けています。これは製造上の欠陥による事故について、事業者の賠償責任へ備える仕組みです。
利用者が運転中に第三者へけがをさせた場合の個人賠償責任保険へ、自動的に加入するという意味ではありません。自治体条例や家庭の保険契約を確認し、必要な自転車保険を別に検討してください。
BAAマークと一緒に事業者名・ブランド・車体番号も確認する
BAAマーク付き自転車には、フレームなどの見やすい場所に、製造事業者または輸入事業者の名称、ブランド名、車体番号を表示することが制度上求められています。BAAマークの番号からも製造事業者を確認できます。
購入時は、マークだけを撮影するのではなく、メーカー・ブランド、車名、車体番号、購入店、購入日を記録してください。車体番号は防犯登録や盗難届にも関わるため、SNSなど誰でも見られる場所へ公開しません。
完成車としての点検整備も制度に含まれる
自転車協会は、BAAマーク付き自転車について、自転車技士または自転車安全整備士が点検整備し、完全に組み立てた状態で利用者へ提供することを義務付けています。
ただし、購入後の配送、保管、使用で状態は変化します。受取時には、ブレーキ、タイヤ、ハンドル、サドル、ライト、固定部を確認し、異常があれば使用せず販売店へ連絡してください。
環境負荷物質の使用削減にも基準がある
BAA制度は安全性だけでなく、自転車を廃棄する際の環境負荷が高い物質の使用削減にも取り組んでいます。自転車協会は、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム、PBB、PBDEの6物質を対象として挙げています。
この取り組みを「自転車なら廃棄しても環境負荷がない」という意味に広げてはいけません。不要になった自転車やバッテリーは、自治体、メーカー、販売店の回収・処分方法に従います。
BAAがないだけで違法とは判断しない
BAAは業界の自主基準であり、一般の自転車へ一律に表示が義務付けられた法定マークではありません。BAAが見当たらないという一点だけで、その自転車が違法だと断定することはできません。
一方、電動アシスト自転車として公道を走るには、道路交通法令上の基準へ適合する必要があります。スロットルで自走する、アシスト基準へ適合しない製品は別の車両区分になるため、販売表示だけでなく型式認定や仕様を確認してください。
中古車はマークより現在の状態を優先する
中古自転車にBAAマークが残っていても、タイヤ、ブレーキ、ワイヤー、車輪、フレームなどが購入時の状態を保っているとは限りません。転倒歴、整備記録、交換部品、改造の有無を確認し、販売店で現車点検を受けます。
マークが剥がれかけている、番号が読めない、フレームの表示と購入書類が一致しない場合は、所有者の判断で似たシールを貼り直しません。メーカーや制度の窓口へ車体情報を伝えて確認します。
部品交換や改造後は元の基準状態と同じとは限らない
BAAや型式認定は、所定の仕様の型式に対する表示です。ハンドル、ブレーキ、車輪、ライト、駆動部などを指定外部品へ交換した場合、検査を受けた仕様と同じとは限りません。
特に電動アシスト機能の改造、非適合なモーター・制御部品の交換、スロットル追加などは行わないでください。補修では車体品番と部品品番を販売店へ伝え、メーカーが認める部品と作業方法を確認します。
付帯保険と自分で加入する自転車保険の違いは、別記事で整理しています。
購入時はマーク以外の用途条件も確認する
BAAマークは車体選びの一つの判断材料ですが、適応身長、車体重量、ブレーキ方式、ライト、変速、バッテリー、最大積載量、チャイルドシート適合など、用途固有の条件までは決めてくれません。
商品ページでBAA表示の有無を確認したら、実際の車体またはメーカー資料と一致するかを見ます。子ども乗せ、通勤、買い物などの使い方を販売店へ伝え、安全表示と仕様の両方から選びましょう。
よくある質問
BAAマークがあれば自転車保険へ加入済みですか?
利用者向けの自転車保険へ加入済みという意味ではありません。BAA制度のPL保険は、製造上の欠陥による事故について製造・輸入事業者の責任へ備えるものです。個人賠償責任保険は別に確認してください。
BAAマークとTSマークはどちらが上ですか?
優劣ではなく目的が異なります。BAAは自転車協会の安全基準、型式認定TSは道路交通法令上の型式基準、点検整備済TSは個々の車体の点検と付帯保険を示します。
BAAマークがあれば定期点検は不要ですか?
必要です。BAAは型式の基準適合を示すもので、使用中の摩耗、緩み、転倒損傷を継続して確認するマークではありません。所有車の説明書に従って乗車前確認と販売店点検を行ってください。
まとめ
BAAマークは、自転車協会が定めた自転車安全基準へ適合する型式に表示されます。型式検査に加え、市場から無作為に購入する商品検査があり、製造・輸入事業者の表示、PL保険、完成車の点検整備、環境負荷物質の使用削減も制度に含まれます。
型式認定TSマークは法令上の型式基準、点検整備済TSマークは個々の車体の点検と付帯保険を示し、BAAとは別の制度です。購入時は各マークの意味を分け、用途に必要な仕様と現在の車体状態も確認しましょう。
