電動自転車で「TSマーク」と呼ばれる表示には、意味の異なるものがあります。一つは国家公安委員会の型式認定を受けた電動アシスト自転車に表示できるマーク、もう一つは自転車安全整備士が点検確認した普通自転車へ貼り、保険が付帯するマークです。
どちらも交通安全を示す「TS」という文字を使いますが、型式認定、点検日、保険の有無は別です。車体のシールを見つけただけで「保険に入っている」「点検済み」と判断せず、表示内容と日付を読みましょう。
最初に型式認定か点検整備済みかを区別しましょう
型式認定番号との併記は車種の法令適合、点検基準日と整備士番号の記載は点検と付帯保険を確認する手掛かりです。
二つのTSマークは目的と確認単位が違う
型式認定はメーカー等が申請した車種を対象とし、点検整備済TSマークは自転車安全整備士が現物を点検した自転車を対象とします。違いを先に整理すると、シールを取り違えにくくなります。
| 項目 | 型式認定のTSマーク | 点検整備済TSマーク |
|---|---|---|
| 主な目的 | 車種が法令上の基準へ適合すると示す | 点検確認済みであることを示す |
| 確認する表示 | 型式認定番号とTSマーク | 色、点検基準日、整備士番号 |
| 保険 | マーク自体に付帯しない | 賠償責任保険・傷害保険等が付帯 |
| 確認単位 | 認定を受けた型式 | 点検を受けた自転車 |
販売ページに「TSマーク対応」とだけある場合は、どちらを指すか確認してください。点検整備済マークについては、点検日が未記入のシールや期限切れの表示を保険有効とみなしません。
型式認定TSマークは電動アシスト基準への適合を示す
警察庁は、国家公安委員会の型式認定を受けた駆動補助機付自転車が、道路交通法令の基準へ適合し、TSマークを表示できると案内しています。アシスト比率、アシスト機能、安全な停止性能などが試験対象です。
車体ではTSマークだけでなく、型式認定番号、メーカー、型式を併せて確認します。この表示は購入後に年1回貼り替える点検シールではなく、それ自体に個人賠償保険が付くわけでもありません。
点検整備済TSマークは自転車安全整備士が貼付する
付帯保険のあるTSマークは、自転車安全整備店に勤務する自転車安全整備士が、普通自転車を点検確認した証しとして貼るシールです。利用者がシールだけを購入して自分で貼る制度ではありません。
点検の結果、ブレーキ、タイヤ、車輪などに整備や部品交換が必要なら、その作業を終えて安全性を確認してから貼付されます。電動アシスト部分の故障診断やメーカー保証とは範囲が異なるため、依頼時に点検内容を尋ねましょう。
緑・赤・青では賠償責任補償の対象が異なる
2026年9月確認時点で、点検整備済TSマークには緑・赤・青があります。各店が扱う色は原則いずれか1種類なので、利用者が同じ店で自由に色を選べるとは限りません。主な賠償責任補償を比較します。
| 色 | 対人賠償の支払対象 | 限度額・サービス |
|---|---|---|
| 緑 | 死亡・傷害を含む全ての人身事故 | 1億円、示談交渉サービス付き |
| 赤 | 死亡・重度後遺障害1~7級 | 1億円、示談交渉サービスなし |
| 青 | 死亡・重度後遺障害1~7級 | 1,000万円、示談交渉サービスなし |
いずれも物損事故は賠償責任補償の対象外です。事故の相手のけがが赤・青の支払条件へ該当しないケースもあるため、限度額だけで十分性を判断しないでください。
搭乗者本人の傷害補償も色で違う
付帯保険には、マークが貼られた自転車の搭乗者が交通事故で死亡、重度後遺障害、一定日数以上の入院となった場合の傷害補償もあります。緑は死亡・重度後遺障害(1~4級)50万円、15日以上の入院5万円、赤は100万円と10万円、青は30万円と1万円です。
支払額は実際の治療費を上限まで補填する形式ではなく、定められた条件で一律に支払われます。事故日から180日以内などの条件もあるため、最新の約款と加入書を読み、医療保険の代わりになると考えないようにしましょう。
赤の被害者見舞金と緑の補償を混同しない
赤色TSマークには、搭乗者が第三者へ傷害を負わせ、相手が15日以上入院し法律上の賠償責任を負う場合に、一律10万円の被害者見舞金があります。青には同制度がありません。
緑は全ての人身事故を対象とする賠償責任補償で対応する設計です。制度名が似ていても支払条件が異なるため、事故時は自分で該当を決めず、加入書記載の保険窓口へ連絡してください。
保険期間は点検基準日から1年間
点検整備済TSマーク付帯保険の有効期間は、シールへ記載された点検基準日から1年間です。車体の購入日、防犯登録日、メーカー保証開始日から数えるのではありません。シールの色だけでなく日付と自転車安全整備士番号を確認します。
期限が切れたシールを車体へ残していても、付帯保険は継続しません。スマートフォンの予定表などへ次回点検時期を登録し、余裕を持って自転車安全整備店へ予約しましょう。
保険は人ではなく点検済み自転車に付帯する
有効期間中のTSマークが貼られた自転車へ搭乗している人が付帯保険の対象です。購入者本人だけを対象にする一般的な契約とは仕組みが異なるため、家族が同じ自転車へ乗る場合にも利点があります。
一方、自分が別の自転車へ乗って起こした事故へ、そのマークの保険を移すことはできません。複数台を所有する家庭は、それぞれの車体の点検基準日と加入状況を分けて管理してください。
取得するには自転車安全整備店に自転車を持ち込む
TSマークを扱う自転車安全整備店を検索し、電動アシスト自転車の受付、予約、持込車の可否、扱うマークの色を確認します。車体、鍵、取扱説明書、過去の整備記録を用意し、不具合があれば事前に伝えましょう。
シール代だけの全国一律料金ではなく、必要な点検整備の料金がかかります。交換部品や追加修理により費用と所要時間が変わるため、作業前に見積範囲を確認してください。
加入書は1年間保管し、記載内容を確認する
貼付時に受け取る「TSマーク付帯保険加入書(お客様用)」は、有効期間中保管します。マークの色、点検基準日、車体情報、整備店などに誤りがないか、その場で確認してください。
事故時の連絡先と必要書類も先に読み、加入書を自転車のかごへ入れたままにしません。家族が使う車体なら、保管場所と連絡方法を共有しておきましょう。
自治体の保険加入義務を満たすかは地域ごとに確認する
多くの自治体が自転車利用者へ賠償責任保険等への加入を求めていますが、条例の対象者や必要な補償は地域によって異なります。TSマーク付帯保険で要件を満たすかは、利用地域の条例と最新の補償内容を照合してください。
特に赤・青は対人賠償の支払対象が死亡・重度後遺障害に限られ、物損も対象外です。日常生活賠償特約や勤務先・学校の保険など、加入中の契約との重複や不足を確かめる方法は「電動自転車に自転車保険は必要?」で解説しています。
中古車は古いシールより現在の状態を優先する
中古の電動自転車にTSマークが残っていても、現在も安全で保険が有効とは限りません。まず型式認定番号との併記なのか、点検基準日のある点検整備済シールなのかを見分けます。
点検日から1年を過ぎている、日付が読めない、加入書がない場合は、有効と決めつけず再点検を依頼してください。購入後の部品交換や改造により型式認定時の仕様から変わっていないかも販売店へ確認します。
事故が起きたら救護と警察への報告を優先する
事故では負傷者を救護し、道路上の危険を防止して警察へ報告します。TSマークがあることを理由に当事者間だけで済ませず、車体、相手、現場の状況を安全な範囲で記録してください。
その後、加入書記載の窓口へ連絡し、マークの色、点検基準日、整備士番号、事故状況を伝えます。支払対象や示談交渉サービスの有無は色と事故内容で異なるため、相手へ補償を約束する前に確認しましょう。
よくある質問
電動自転車にTSマークがあれば保険加入済みですか?
型式認定TSマークには保険が付帯しません。点検基準日と整備士番号が記載された点検整備済TSマークかを確認し、1年間の有効期間内であることも確かめてください。
TSマークの保険だけで物損事故も補償されますか?
TSマークの賠償責任補償は対人事故が対象で、物損事故は対象外です。色によって対人事故の支払条件も違うため、別の個人賠償責任保険等と併せて不足を確認しましょう。
通販で買った電動自転車にもTSマークを付けられますか?
普通自転車に該当し、自転車安全整備士が点検確認できれば対象になり得ます。持込受付の可否や必要な整備は店舗によって異なるため、型式を伝えて自転車安全整備店へ相談してください。
まとめ
電動自転車のTSマークには、型式認定を示すものと、自転車安全整備士の点検確認・付帯保険を示すものがあります。型式認定番号との併記、または点検基準日・整備士番号の記載を見て区別してください。
点検整備済TSマークは緑・赤・青で補償範囲が異なり、有効期間は点検基準日から1年間です。物損や対象外のけがに備え、自治体条例と家庭の保険契約も併せて確認しましょう。
点検日と補償範囲を確認して安全に備えましょう
cycle-iは通販のため、定期点検はお近くの自転車店(有償)での受診をお願いしています。TSマークの点検も、お近くの自転車安全整備店へご相談ください。
