ヤマハのスマートパワーモードは、平坦路や上り坂などの状況に応じてアシスト力を自動で制御する走行モードです。坂へ入るたびに強弱を手動で切り替える負担を減らせますが、自転車の変速段を自動で切り替える機能ではありません。
PASには、オートエコモード プラス、スマートパワーモード、強モードを備える車種がある一方、「強・弱」の2モード車もあります。モード名と公表走行距離は車種ごとに確認し、自分の経路で使う設定を基準に充電計画を立てましょう。
ヤマハPASを用途と走行距離から比較する
モデルごとのバッテリー容量や装備は、cycle-iのヤマハ商品一覧で確認できます。
3つのモードはアシスト力と電池消費で使い分ける
| 走行モード | 使い方の目安 | 距離表の見方 |
|---|---|---|
| オートエコモード プラス | 平坦路を含み電池消費を抑えたい | 多くの対応車で最も長い公表値 |
| スマートパワーモード | 道路状況に合わせた自動制御を使いたい | 坂と平坦路を含む日常利用の参考 |
| 強モード | 上りや重い荷物で強い補助を優先したい | 対応車では短い側の公表値になりやすい |
すべての車種にこの3モードがあるわけではありません。購入候補の商品ページに表示された正式なモード名を確認し、同じモード同士で距離を比較してください。
スマートパワーアシストはこぎ方と走行状況を感知する
ヤマハはスマートパワーアシストについて、道路状況に応じてアシスト力を自動で切り替える技術と説明しています。平坦路や下りでは電池消費を抑え、上りでは自動で強い補助へ移る考え方です。
制御には、ペダルを踏む力、走行速度、ペダルを回す速さを感知するトリプルセンサーシステムが使われます。スマートパワーモード時に、利用者のこぎ方と走行状態へ合わせて補助力を調整します。
自動制御は自動変速ではない
スマートパワーモードが自動で変えるのは、モーターによるアシスト力です。内装3段や5段などの機械式変速を自動で操作する機能ではありません。変速レバーは乗員が道路の勾配と速度に合わせて操作します。
上り坂で重い変速段のまま強く踏み続けるより、坂へ入る前に軽い段へ切り替えるほうが発進や低速走行を安定させやすくなります。アシストモードと変速段は、別々の役割を持つ操作として覚えてください。
スマートパワーモードは切り替え操作を減らしたい人向け
平坦路と坂が交互に現れる経路では、補助の強さを自動で調整するスマートパワーモードが使いやすい選択肢です。信号発進、橋の上り、緩い下りが続く街中でも、強モードと節電側を何度も手動で切り替える手間を減らせます。
自動制御だから電池が減らないわけではありません。急坂、重い荷物、向かい風、低い空気圧など負荷が大きい条件では、必要な補助力が増えて消費も変わります。
オートエコモード プラスは最長値だけで選ばない
オートエコモード プラスは、平坦路などでアシストを抑え、電池消費を節約しながら走る設定です。商品仕様表では、スマートパワーモードや強モードより長い一充電走行距離が示される車種が多くあります。
ただし、その最長値が日常の経路でそのまま得られるわけではありません。坂が多く、発進回数も多い使い方では補助が必要になるため、最長距離だけを見て充電頻度を決めないでください。
強モードは距離より補助力を優先する
強モードは、上り坂、向かい風、荷物を載せた発進など、強い補助を優先したい場面で使います。対応車の公表距離では3モードのうち短い値として示されることが多く、電池消費との引き換えに補助力を得る設定です。
坂がある日だけ強モードへ切り替え、平坦区間で別のモードへ戻す使い方もできます。走行中に表示を見続けず、安全な操作方法と切り替えボタンの位置を停車中に確認しておきましょう。
強・弱の2モード車もある
PAS SION-Uの公式ページは、「強」「弱」の2つの走行モードを案内しています。このような車種へ、スマートパワーモードやオートエコモード プラスがあると決めつけることはできません。
弱モードは距離を伸ばしやすい側、強モードは補助を優先する側として比較できますが、3モード車と名称を読み替えないでください。手元スイッチに表示される名称と、対象品番の説明書を基準にします。
車種ごとの公表距離は同じモード名で比べる
二つのPASを比較するときは、片方のオートエコモード プラスと、もう片方の強モードを並べないようにします。同じモード名がある場合は同じ列で比較し、モード構成が違う場合は普段の経路で使う補助の強さを販売店へ確認します。
バッテリー容量が同じ15.8Ahでも、車体重量、タイヤ、変速、制御によって公表距離は異なります。「容量が同じなら走行距離も同じ」とは判断せず、車種別仕様表の数値を使ってください。
カタログの走行距離と実際の差については、別記事で扱っています。
公表距離は保証値ではなく標準パターンの目安
ヤマハは、一充電走行距離について、道路状況、走行モード、走り方、気温、乗員と荷物の重さなどで変わると説明しています。商品ページの距離は標準パターンで測定した値であり、走れる距離を保証するものではありません。
新しいバッテリーと指定空気圧を前提にした値を、劣化した電池や空気の少ないタイヤへそのまま当てはめることもできません。実際の利用では、帰宅時に残量がなくならない余裕を確保します。
坂の多い通勤・通学は強モードの公称距離も参考にする
決まった時刻に到着する必要がある通勤や通学では、最長距離ではなく、負荷の高い日を想定して計画します。坂や向かい風で強モードを多く使うなら、仕様表の強モード距離を起点にすると余裕を取りやすくなります。
一日の往復距離だけでなく、充電を忘れた翌日、寄り道、低温時も考えます。公表距離ぎりぎりまで使う運用ではなく、残量表示を見て早めに充電できる周期を決めてください。
買い物や送迎の充電計画には荷物と発進回数も見込む
買い物や子どもの送迎では、乗員と荷物の重さが増え、信号や立ち寄り先で発進回数も多くなります。同じ距離でも、一定速度で走り続ける経路より電池消費が変わります。
発進時は軽い変速段を使い、急に強く踏み込まないようにします。子ども乗せ車ではモード選択だけでなく、低速での安定、ブレーキ、スタンド操作を優先してください。
残量表示の読み方と、急に減るときの確認点は別記事にまとめています。
残量表示は距離だけでなく帰路の坂も考える
手元スイッチに残り走行距離が表示される車種でも、表示は現在までの使い方や条件に基づく目安です。目的地までの距離と同じ数字が出ているから、確実に到着できるとは限りません。
往路が下りで帰路が上りになる経路では、帰りのほうが大きな補助を必要とします。行きに残量を使い切らず、帰路の勾配と荷物を含めて余裕を残してください。
航続距離が急に短くなったらモード以外も調べる
同じ経路とモードなのに充電間隔が大きく短くなった場合は、タイヤ空気圧、ブレーキの引きずり、荷物、気温、バッテリーの劣化を確認します。モード設定だけが原因とは限りません。
バッテリーに変形、割れ、異臭、異常な発熱がある場合は使用と充電を中止してください。距離の低下が続くときは、車体品番、バッテリー型番、使用年数、症状を伝えて販売店へ相談します。
試乗では同じ坂をモード別に走る
- 停車中にモード名と切り替えボタンを確認する
- 平坦路で発進時の補助とペダルの感覚を試す
- 同じ坂をスマートパワーモードと強モードで比べる
- 変速段も変え、脚の負担と操作回数を確認する
- 走行後に残量表示と使ったモードを記録する
試乗車に希望モデルと同じモードがあるかを最初に確認してください。短い平坦路だけでは自動制御の違いを感じにくいため、販売店が認める安全な試乗経路で緩い坂も試します。
購入前は品番別のモード表示を確認する
公式ラインアップの絞り込みにスマートパワーモードが表示されても、すべてのPASへ搭載される意味ではありません。候補車の商品ページで、モード名と各走行距離を確認します。
旧年式や譲渡車は、現行商品ページではなく対象品番の取扱説明書を参照してください。ヤマハの取扱説明書検索では、号機番号やモデル・年式などから2006年以降の説明書を探せます。
よくある質問
スマートパワーモードは自動変速ですか?
自動変速ではありません。道路状況やこぎ方に応じてモーターのアシスト力を自動制御する機能です。機械式の変速段は乗員が操作します。
最も長く走れるモードだけ使えばよいですか?
平坦路では節電側のモードを使いやすい一方、坂や重い荷物では強い補助が必要です。最長距離だけでなく、経路と安全に合うモードを選んでください。
どのPASにもスマートパワーモードがありますか?
全車共通ではありません。SION-Uのように強・弱の2モードを採用する車種もあります。購入候補の公式仕様と取扱説明書を確認してください。
まとめ
ヤマハのスマートパワーモードは、スマートパワーアシストによって走行状況とこぎ方に合わせて補助力を自動制御します。変速段を自動で切り替える機能ではないため、坂では変速レバーも適切に操作します。
オートエコモード プラスは電池消費を抑えたい場面、強モードは補助力を優先する場面で使い分けます。モード構成は車種ごとに異なるので、同じ名称の公表距離を比べ、実際の坂、荷物、発進回数を含めて充電に余裕を持たせましょう。
