自転車のギア比は、ペダル側の前ギア(チェーンリング)と、後輪側の後ろギア(スプロケット)の歯数から求められます。外装変速車なら、基本の計算は「前ギアの歯数÷後ろギアの歯数」です。数値が小さいほどペダルは軽くなり、坂道や発進で回しやすくなります。
ただし、ギア比だけで自転車の軽さや速さは決まりません。タイヤ径、車体と荷物の重さ、坂の勾配、乗る人の脚力が関係し、電動アシスト自転車ではモーターの制御も加わります。この記事では歯数から分かる範囲と、数字だけでは分からない範囲を分けて説明します。
歯数だけで決めず、坂道を想定して電動自転車を比べましょう
ギア比、変速方式、タイヤ径、乗車姿勢を確認し、実際に使う坂で無理なく発進できる車種を選んでください。
ギア比は前の歯数を後ろの歯数で割る
外装変速の基本的なギア比は、チェーンが掛かっている前ギアの歯数を、後ろギアの歯数で割って計算します。前が36T、後ろが18Tなら「36÷18=2.0」です。Tはteeth(歯)の頭文字で、36Tは歯が36枚あることを表します。
ギア比2.0なら、ペダルを1回転させたときに後輪が理論上2回転します。実際の進む距離は後輪の外周で変わるため、ギア比が同じでも20型と27型では一漕ぎの距離が同じとは限りません。
歯数の組み合わせを計算例で比べる
| 前ギア | 後ろギア | 計算 | ギア比 | 性格 |
|---|---|---|---|---|
| 36T | 12T | 36÷12 | 3.00 | 重めで一漕ぎが長い |
| 36T | 18T | 36÷18 | 2.00 | 中間 |
| 36T | 24T | 36÷24 | 1.50 | 軽めで坂向き |
| 36T | 30T | 36÷30 | 1.20 | さらに軽い |
前ギアを36Tにそろえると、後ろギアの歯数が多いほどギア比は小さくなります。「後ろの大きなギアへチェーンを移すと軽くなる」と覚えると、外装変速の動きを理解しやすくなります。
坂では小さいギア比が回しやすい
上り坂では、重いギアを力任せに踏むより、小さいギア比へ変えてペダルを回すほうが発進しやすくなります。走り出す前に軽い段を選び、急に強く踏み込まず、周囲の安全を確認して発進してください。
坂の途中で停止した場合は、再発進する前に軽い位置へ変えられるかが重要です。外装変速は、停止したままレバーを操作してもチェーンが移動しません。安全な場所で停止前に軽い段へ移す習慣を付けてください。
前のギアは小さいほど、後ろは大きいほどペダルが軽くなる
| 変更 | ギア比 | ペダルの感覚 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 前を小さくする | 小さくなる | 軽くなる | 坂、発進、低速 |
| 前を大きくする | 大きくなる | 重くなる | 平地の巡航 |
| 後ろを大きくする | 小さくなる | 軽くなる | 坂、発進、低速 |
| 後ろを小さくする | 大きくなる | 重くなる | 平地の巡航 |
前後の見た目が混乱しやすいときは、式へ歯数を入れて確認します。前が分子、後ろが分母です。前を大きくすれば数値が増え、後ろを大きくすれば数値が減ります。
変速段数が同じでも軽さの範囲は違う
「外装7段」のような段数は、選べる後ろギアの枚数を示します。7段同士でも、最小と最大の歯数が違えば、最も軽いギア比と最も重いギア比は異なります。段数だけを見ても、坂への強さは判断できません。
商品仕様に「12-28T」とあれば、後ろギアの最小が12T、最大が28Tという意味です。前ギアが36Tなら、重い側は36÷12=3.00、軽い側は36÷28=約1.29です。候補車は最低ギア比と最高ギア比を同じ計算方法で比べます。
ギアレンジは最も重い比と軽い比の幅を示す
ギアレンジは、最も重いギア比を最も軽いギア比で割って百分率で示す考え方です。前が1枚で後ろが12-28Tなら、歯数だけで見た範囲は「28÷12×100」で約233%になります。値が大きいほど、軽い側から重い側まで広く選べます。
広いレンジは坂と平地の両方へ対応しやすい一方、隣り合う段の差が大きいと、変速時の重さの変化も大きく感じます。レンジの広さと段数を組み合わせ、使いたい速度で回しやすい段があるかを試乗で確かめましょう。
タイヤ径を含めて一漕ぎの距離を比べる
ギア比へタイヤ外周を掛けると、ペダル1回転で進む理論上の距離を求められます。計算は「ギア比×タイヤ外周」です。ギア比2.0、タイヤ外周1.5mなら、一漕ぎで約3.0m進む計算です。
ただし、「20型」「26型」という呼び方だけでは正確な外周を確定できません。タイヤ幅や規格で外径が変わるため、厳密に比較するならメーカーの周長値または実測値を使います。空気圧や乗車時の変形もあるので、計算結果は目安として扱ってください。
内装変速は見える歯数だけで比べられない
内装変速は、後輪ハブの内部にある歯車で変速します。外から見える前ギアと後ろスプロケットの歯数に加え、選んだ段の内部変速比を掛けなければ、実際のギア比を求められません。
シマノの内装ハブ仕様表でも、INTER-8は1速0.527から8速1.615まで各段の内部ギア比が示されています。内装3段や内装5段も、外から見える歯数だけを外装変速車と直接比較せず、製品仕様の内部変速比を確認してください。
電動アシストの強さとギア比は別の指標
電動アシスト自転車でも、ギア比はペダルと後輪の機械的な回転関係を表します。アシストモードはモーターの補助の仕方を変える機能であり、ギア比そのものを書き換えるものではありません。
強いアシストモードを選んでも、重いギアのまま急な坂で発進すれば、脚や駆動部へ大きな負担が掛かります。パナソニックは、上り坂や荷物が多いといったペダルが重くなる使い方ほどバッテリーを早く消費すると説明し、走行条件に合わせた変速を案内しています。
商品仕様では歯数表記の場所を探す
完成車の仕様表では、「チェーンリング」「クランク」「フロントギア」に前の歯数、「スプロケット」「カセット」「フリーホイール」に後ろの歯数が記載されます。後ろが複数段なら「11-32T」のように範囲だけが示される場合もあります。
歯数が記載されていなければ、写真から数えて断定しません。年式や同名モデルのサイズ違いで部品構成が変わることもあるため、正確な型式を販売店へ伝えて確認します。交換部品を選ぶ場合は、歯数だけでなく変速機、チェーン、取付規格との適合確認が必要です。
候補車は最小ギア比から比較する
- 候補車の前ギアの歯数を確認する
- 後ろギアで最も大きい歯数を確認する
- 前歯数を後ろの最大歯数で割る
- タイヤ径と変速方式を併記する
- 試乗で坂道発進と低速走行を試す
坂の軽さを見たい場合、外装変速車では最小ギア比が最初の比較軸になります。ただし、小さい数値の車種が必ず自分に合うとは限りません。乗車姿勢、車体重量、アシスト制御、ブレーキの扱いやすさまで確認してください。変速段数や操作方法は、電動自転車のギアは何段必要?で詳しく解説しています。
よくある質問
ギア比1.0はどのような状態ですか?
外装変速なら前後の歯数が同じ状態です。ペダル1回転に対して後輪も理論上1回転します。進む距離はタイヤ外周で変わります。
ギア比が小さいほど坂を必ず上れますか?
ペダルは軽くなりますが、坂を上れるかは勾配、路面、車体と荷物の重さ、脚力、タイヤの状態にも左右されます。電動車ではバッテリー残量とアシスト制御も確認してください。
内装3段の歯数から各段のギア比を計算できますか?
前後の歯数だけでは計算できません。ハブ内部の各段の変速比が必要です。ハブの型番を確認し、メーカー仕様または販売店で数値を確認してください。
まとめ
外装変速のギア比は「前ギアの歯数÷後ろギアの歯数」で計算します。数値が小さいほど坂や発進でペダルを回しやすく、数値が大きいほど一漕ぎで後輪を多く回せます。後ろギアは大きいほど軽くなる点を覚えておきましょう。
段数が同じでも歯数の範囲が違えば、軽さと重さの幅は異なります。タイヤ径やアシスト特性も含め、最後は実際の利用条件に近い試乗で確認してください。内装変速は内部変速比が必要なため、見える歯数だけで外装変速と比較しないことが大切です。
参考資料
- シマノ「内装ハブ仕様表」(2026年10月6日確認)
- パナソニック サイクルテック「走行距離(業界統一テスト条件)」(2026年10月6日確認)
