本文へスキップ
CYCLE i暮らしに寄り添う自転車
CYCLE i / コラム
CYCLE i COLUMN

自転車のサドルの高さの合わせ方|目安と調整の手順

信号待ちで足が届きにくい、ペダルをこぐとひざが窮屈。そう感じたら、サドルの高さを見直しましょう。街乗り用の自転車には、座ってハンドルを握り、両足のつま先が確実に地面に着く位置を目安とするものがあります。ただし、子どもを乗せる場合などは条件が異なるため、車種と用途に合った取扱説明書の目安を優先してください。

高さを変えるときは、シートポストの引き上げ限界線(はめ合わせ限界標識)が見えない範囲で固定します。線が見えるまで引き上げると、シートポストが折れたり抜けたりするおそれがあります。目安の確かめ方、シートピンでの合わせ方、上げきっても下げきっても合わないときの対処を順に説明します。

CYCLE iでサドルと直付けサドルを見る

今のサドルでは高さが合わないときは、車体の型式やシートポスト径を確認し、適合する直付けサドルなどがあるか販売店に相談してください。

街乗り用サドルの高さは、座って両足のつま先が地面に着く位置が目安

街乗り用の自転車では、停止したときに左右どちらの足でも車体を支えられることを優先して高さを決めます。3社の取扱説明書に書かれた「正しい乗車姿勢」を並べると、表現は少し違っても、確かめる点はほぼ共通しています。

確かめる点 ブリヂストンサイクル ヤマハ発動機 パナソニック サイクルテック
足と地面 両足先が確実に地面につく 両足のつま先が確実に地面につく 両足のつま先が地面に着くか
腕と手 上半身が少し前に傾き、ヒジが軽く曲がる 両ひじは軽く曲がる。両手の指がブレーキレバーを余裕をもって握れる —
ひざ ペダルをこいだときヒザがハンドルに当たらない ひざがハンドルに当たらない —
引き上げの上限 はめ合わせ限界標識が見えなくなるまで挿入 引き上げ限界線が見えるまで引き上げない はめ合わせ限界標識が見える状態で使わない

表は、ブリヂストン「取扱説明書(シティサイクル・実用車編)」、ヤマハのPAS With・PAS With DX、パナソニックのビビ・DXの取扱説明書の記載です(パナソニックはサドルの点検項目のため、腕とひざは「—」)。車種によって記載が異なる場合があるので、手元の自転車の取扱説明書があれば、そちらを優先してください。

カタログの「乗車適応身長」は、メーカーや車種、使い方によって目安が異なります。パナソニックは電動アシスト自転車では両足のつま先、幼児2人同乗では両足裏全体が地面に着くことを目安としています。購入前に対象車種の条件を確認し、可能なら販売店で実際の足つきも確かめてください。

スタンドを上げ、座ってハンドルを握って確かめる

高さの確認は、平らな場所で車体をまっすぐ立てて行います。スタンドを立てたまま座ると車体が支えられてしまい、実際に止まったときの足の届き方が分かりません。スタンドを上げ、ブレーキを握って車体を止めた状態で確かめると、信号待ちに近い姿勢になります。

  1. 普段乗るときの靴を履く
  2. スタンドを上げ、前後のブレーキを握って車体を止める
  3. サドルに腰を下ろし、両手でハンドルのグリップを握る
  4. 車体をまっすぐにしたまま、左右の足のつま先が地面につくかを見る
  5. 片足をペダルに乗せて回し、ひざがハンドルに当たらないかを見る
  6. ブレーキレバーを指で余裕をもって握れるかを確かめる

車体をまっすぐにした状態で、取扱説明書が求める足つきを確保できない場合は、高さを見直してください。一方、低くしすぎると、ペダルをこいだときにひざがハンドルに当たるなど、操作しにくくなることがあります。かかとが着くかどうかだけで高低を決めず、車種と用途に必要な足つきと、こぎやすさの両方を確かめましょう。

子どもを乗せる場合は、通常の乗車適応身長とは別の条件がないか確認してください。例えば、パナソニックは幼児2人同乗時に両足裏全体が地面に着くことを目安にしています。重い車体を安全に支えられるか不安があれば、子どもを乗せて自己判断で試す前に、販売店で高さと車体の適合を相談しましょう。

サドルを上げる前に、引き上げ限界線の意味と確認方法を知っておく

シートポスト(サドルを支える棒)には、フレームに差し込んでおくべき長さを示す線や「MINIMUM INSERT」などの表示があります。メーカーによって呼び方が違い、ヤマハは「引き上げ限界線」、ブリヂストンとパナソニックは「はめ合わせ限界標識」と書いています。

最も高くした場合でも、限界標識が見えなくなるまでシートポストを差し込んでおきます。見えていると、サドル(シートポスト)の折れや抜けによる事故・けがのおそれがあります(ブリヂストン取扱説明書)。ヤマハの取扱説明書でも、調整は引き上げ限界線が見えない範囲です。線が少しだけ見えている状態も、上限を越えた状態です。

調整する前に、使用している車体の取扱説明書で高さの調整範囲と構造を確認してください。限界標識を探すために無理にシートポストを引き抜かず、確認方法が分からない場合は販売店に相談しましょう。高さを変えた後は、指定された範囲内で確実に固定されていることを確認します。

パナソニックのビビ・DXは、サドル抜け防止機構を装備しているため、はめ合わせ限界標識を確認できない構造です(取扱説明書)。限界線が見当たらない車種もあるため、見つからないときは取扱説明書で構造を確かめ、分からなければ販売店に尋ねてください。

サドルの高さを調整し、限界線が見えないことと固定状態を確認する

サドルの調整方法は、シートポストを固定する部品の方式によって異なります。以下は、ボルトナット式・回転式シートピンの説明です。クイックレバー式は回して締める方式ではないため、同じ手順を使わず、車体の取扱説明書に従ってください。方式や操作する側が分からない場合は販売店に相談しましょう。

  1. 走行をやめ、平らな場所で停車してから作業する(ヤマハは走行中の調整をしないよう警告)
  2. 車体の取扱説明書で操作する側を確認し、ボルトナット式・回転式のシートピンをゆるめる。引用したブリヂストンの取扱説明書では、右側のナット又はレバーを操作し、左側は回さない。
  3. サドルを上下させ、向きをフレームの中心にそろえる
  4. 引き上げ限界線が見えていないかを確かめる
  5. ボルトナット式・回転式は、取扱説明書で指定された側のナット又はレバーを締めて固定する。クイックレバー式にこの操作を適用しない。
  6. サドルの前後を持って、左右や上下にずれたり回ったりせず、確実に固定されていることを確かめる。

レバーの止め方にも注意があります。レバーは確実に締めたあと、下向きに折りたたみます。上向きや前向きのままだと足に当たるおそれがあります(ヤマハ)。レバー先端は、足やタイヤに当たらない位置で閉じます(ブリヂストン)。レバーの位置を直すときは締める方向(時計回り)で微調整し、逆には回しません。逆に回すと固定が不確実になる場合があります(ブリヂストン)。

レバーを開閉して固定するクイックレバー式は、回して締める方式と扱いが違います。カムレバーを閉じるときの力は、レバー先端で100N(10kgf)〜160N(16kgf)になるよう調整します(ブリヂストン)。閉じたあとにサドルが回る、レバーが固すぎて閉じないときは、そのまま乗らずに販売店に調整を頼んでください。

ナットを工具で締める方式では、締め付けの強さが決まっている車種があります。パナソニックのビビ・DXでは、シートピンの締付トルクは8〜12N・mで、締め過ぎるとシートクランプが破損するおそれがあります(取扱説明書)。トルクレンチがない、締め具合に自信がない場合は、販売店で合わせてもらうと確実です。

上げても下げても合わないなら、部品か車体のサイズを見直す

調整範囲内で高さを変えてもひざがハンドルに当たる、ペダルが窮屈に感じる場合は、高さだけで合わせようとせず販売店に相談してください。限界線をテープで隠したり、線を越えた位置で固定したりしてはいけません。車体のサイズや乗車姿勢、交換部品の適合を確認してもらいましょう。部品の径や長さの合わせ方は「自転車のサドル交換」で扱っています。

反対に、いちばん下げても足が届かない場合、シートポストをさらに押し込むことはできません。サドルを低くするときも、シートポストの細くなった部分(テーパー部)はフレームの中に入れません(ブリヂストン・ヤマハの取扱説明書)。細い部分まで入れるとサドルが確実に固定されず、けがをするおそれがあるためです。

標準より低くしたい場合は、別売の直付けサドルに交換すると、サドルの高さを通常より約3〜4cm下げられます(パナソニックの取扱説明書)。直付けサドルはシートポストの径ごとに品番が分かれるため、車体の型式と合わせて販売店で確かめてください。それでも足りない場合は、車体のサイズ自体が合っていない可能性があります。

荷台(キャリヤ)や後ろの幼児座席がある車体では、サドルを下げたときに後ろ側が当たることがあります。高さは、乗車時や走行時にサドルとキャリヤが干渉しない位置に調整します(ブリヂストン)。足の届き方だけで下限を決めず、座ったときにサドルの後ろが何かに当たっていないかも見てください。

前後の位置と角度は高さとは別に合わせる

高さを変えたあと、座る位置が前すぎる・後ろすぎると感じることがあります。前後の位置は、ペダルを斜め前の踏み込みやすい位置にして足を乗せたとき、ひざの中心の真下にペダルの中心が来るのが最適です(ブリヂストン取扱説明書)。

角度は、サドル上面がほぼ水平になるように取り付けます(3社共通)。水平でないとサドル固定部に大きな負担がかかり、壊れやすくなります(ブリヂストン)。前後位置と角度はサドル下のナットやボルトを工具でゆるめて調整する部分で、レバーで変えられる高さとは作業が違います。工具を使う調整に慣れていなければ、高さを決めた状態で販売店に相談しましょう。

座っているとお尻が痛む場合、高さ以外に角度や姿勢、乗る時間も関係します。痛みの原因を一つずつ見直す方法は「自転車でお尻が痛い」にまとめています。

ロードタイプのeBikeはこぎやすさで高さを決める

ここまでの「つま先がつく」目安は、シティサイクルや一般的な電動アシスト自転車の取扱説明書に書かれたものです。ロードバイク型のeBikeでは考え方が変わり、サドルに乗った状態で楽にペダリングできる高さに合わせます(ヤマハ「乗車ポジションの調整」。シティサイクルは地面に足がつく高さとの対比で説明)。

ここから、ロードタイプでは座ったまま足が地面につかない高さもありうると読み取れます。シティサイクルと同じ感覚で足のつく高さに合わせると、ヤマハの説明よりも低めの位置になると考えられます。スポーツタイプの高さを決めるときは、その車種の取扱説明書と購入した販売店の案内を確かめてください。

乗る人が替わるたびに高さと固定を見直す

家族で1台を使う場合は、乗る人に合わせて高さを調整し、その都度、指定された調整範囲と固定状態を確認してください。以前の高さを記録しておいても、メーカーの限界標識の代わりにはできません。目印を付ける場合の位置や方法が分からないときは販売店に相談し、限界標識を隠さないようにしてください。

高さを変えたら、乗る前に固定状態とシートポストを点検します。以下はヤマハのeBike〈YPJ〉向け乗車前点検にあるサドルの項目です。実際の点検方法は、使用している車体の取扱説明書に従ってください。

  • 引き上げ限界線が見えていないか
  • サドルの取り付けにゆるみやがたつきがないか
  • ずれたり回転したりしないか
  • サドル上面がほぼ水平に固定されているか
  • シートポストに傷、へこみ、亀裂などがないか

サドルには引き上げる限界があるので、限界線が見えていないことは目で見て確かめます(ヤマハ「PAS健康診断ハンドブック」)。身長差の大きい夫婦で1台を使うときの選び方は「電動自転車を夫婦で共有するには?」で紹介しています。

調整したあとは止まる・こぐ動作を短い距離で試す

固定を確かめたら、人や車の少ない場所で短く走ってみます。発進のときにふらつかずに足をペダルへ乗せられるか、止まったときに左右どちらの足でもつけるか、ペダルを回したときにひざがハンドルに当たらないかを見てください。電動アシスト自転車は車体が重いため、停止して足をついたときに車体を支えられるかが特に大切です。

走っているうちにサドルが下がる、回る、きしむ音がする場合は、固定部や部品に異常がある可能性があります。乗るのをやめ、気づいた症状を販売店に伝えて点検を依頼してください。締め直して走行を続けたり、症状を再現するために走ったりしないようにしましょう。走行中にサドルが下がるときの見分け方は「自転車のサドルが走行中に下がる」で説明しています。

よくある質問

かかとまで地面につく低めの高さのほうが安全ですか?

かかとが着くかどうかだけでは判断できません。車種と使い方に合う取扱説明書の目安を優先してください。両足のつま先が着くことを目安とする車種がある一方、パナソニックは幼児2人同乗時には両足裏全体が着くことを目安としています。必要な足つきを保ち、ひざがハンドルに当たらず無理なくこげる高さについて、迷ったら販売店に相談しましょう。

シートポストに引き上げ限界線が見当たらないのはなぜですか?

線がフレームの中に隠れていれば、限界の手前で使えている状態です。また、パナソニックのビビ・DXのようにサドル抜け防止機構があり、標識を確認できない構造の車種もあります。構造が分からないときは取扱説明書を確認し、それでも不明なら販売店に尋ねてください。

まとめ

街乗り用自転車のサドルは、車種と用途に必要な足つきと、無理なくこげる姿勢の両方を確認して合わせます。両足のつま先が着くことを目安とする車種もありますが、子どもを乗せる場合などは条件が異なります。取扱説明書を優先し、ひざがハンドルに当たらないことや、ブレーキを無理なく操作できることも確かめてください。

調整は停車してから行い、引き上げ限界線が見えない範囲で固定し、サドルが回らないことを確かめてから乗りましょう。上げきっても足りない、下げきっても高い場合は、限界線やテーパー部を越えて使わず、シートポストや直付けサドル、車体のサイズを販売店で見直してください。

参考資料